2024-04-17

一度も本気で人を殴ったことがない

もうすぐ三十路だが、今までの人生で一度も本気で人を殴ったことがない。

暴力必要になるような場面に遭遇せず暮らしてきたので当然といえば当然だろう。

そもそも暴力といった野蛮な行為は推奨されるべきじゃないし、忌避すべきことだと思ってる。

それでも、たまに思うことがあった。

自分はこれまでの人生で、本気で他人にぶつかったことがないんじゃないかって。

から他人との距離感を計りかねていたし、本気でぶつかることで拒絶されることを恐れていた。いい歳してヤンキー漫画を読むのも殴り合いへの憧憬と、心が通じ合う様に惹かれてのことだと思う。

本気になるということは言い訳が出来ないということだ。

他人と触れ合うとき、どこかいつも一歩引いている自分がいた。

それを"やさしさ"といえば聞こえは良いが、実際は単なる臆病者に過ぎない。

自分の力加減で関係が崩れてしまうのを恐れる癖に、それでも目一杯自分の力を振るってみたいという欲望に駆られてしまう。

そんなとき出会ったのが彼女だった。

彼女とはアプリを通じて知り合い、はじめから目的が一致していたので事に及ぶまでは早かった。

俺は彼女を思い切り抱いた。力の限り抱きしめ、荒々しく挿入し、野獣のように腰を振った。

それでも彼女否定せず、すべてを受け入れてくれた。

彼女を抱いたことで男としての自信を…いや、人間としての自信と、尊厳を初めて得られたような気がする。だからこそ彼女には感謝している。セフレであるこの彼女とは、今付き合っている彼女よりも先に知り合った。今も関係は続いている。

かといってセフレである彼女との間に強い絆があるわけではなく、別れようと思えばいつだって別れることが出来る。向こうもそれを重々承知しているだろう。だからこそ俺たちはいつも初対面のような面持ちで会い、その距離感が心地よく、なんでも話せてしまう。そうした部分に甘えているのかもしれないが、これだってずっと続く関係じゃない。

付き合っている彼女はこのことを知らないが、今のところセフレとの関係を断ち切る気はない。このままひっそりと、続けていこうと思っている。

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