2021-08-29

anond:20210829124450

・「作中に描写がないこと」を「作品に書いてあるかのように読める断定で書いた」

・「描写がある」「明示的な記述はなく」という仮定客観性を持たねばならない

・「直接描写されていないこと」は、主観ではなく客観としなければならない

桜庭の言う「直接描写されていないこと」を「なに」という言葉に置き換え、「あるひとりの読者=作者の主観だ」としている

理解力がないのだろうが、鴻巣の主張にはどこにも矛盾はない。

まず「「作中に描写がないこと」を「作品に書いてあるかのように読める断定で書いた」」と言うが、鴻巣は「描写がある」と読んだのだから平行線で終わり。

鴻巣は「合理的」な読みの話をしているが、この記事の筆者は「客観性」と言い換えている。客観的な読みとは、多数派が、合理性をもって読み、到達するような読みではあるが、合理的客観的ではない。どのような「直接描写されていないこと」があるかないか、多くの人が「ない」と言えばそれは客観的な読みだろうが、だからといってただ一人が固有の合理性小説を読み解くこともありえ、ある合理的な読みが誰にとっても一つ(閉ざされた「読み」)だとは言えない。多くの人が小説少女を埋める」に「虐待」の描写がないと読む(この記事の筆者もそう読む)からといって、それは結局「主観」の集まりであり、他の読み方(たとえば鴻巣のような読み方をした人も一定数いる)が合理的ではないということにはならない。

もちろ特定の読み方い対して、それは合理的ではない「曲解」だと主張することは可能で、文学研究批評においても後の研究批評が先の研究批評否定することはある。それが「鴻巣解釈検討」で行われていることだが、誰もがこの記事の筆者のように読むわけではなく、結局多数派か少数派か(一人か)の主観ということになる。それが、開かれた「読み」。

・あらすじに書かれた鴻巣解釈だけを前提とし、桜庭提示した(あるいは以下で私が説得的に示す「真っ当な」)解釈に思い至りもしない、という可能性はある

誰かの「あらすじ」を先に読み当該小説を読むとして、読者はそのとおりに読んでもいいし読まなくてもいい。実際に小説を読んで鴻巣の「あらすじ」は「おかしい」「頓珍漢」と「わかる」人もいれば、鴻巣の「あらすじ」のとおりだと読む人もいる。どちらもあり得るのだから、「「読み」が閉ざされたことを意味」しない。

記事への反応 -
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    •  「鴻巣友季子の時評は何が問題なのか」(https://anond.hatelabo.jp/20210826203711)の著者です。  非本質的な、《誤読か否か》を議論したがるコメントが依然として多いので、記事を改めて補...

      • ・「作中に描写がないこと」を「作品に書いてあるかのように読める断定で書いた」 ・「描写がある」「明示的な記述はなく」という仮定は客観性を持たねばならない ・「直接描写され...

        • 記事の著者です。ごめんなさい、理解力がないのかもしれませんが、あなたの反論にすべて反論できてしまった気がします。 ・まず「「作中に描写がないこと」を「作品に書いてあるか...

          • 本当に著者なのかあ?よくこんな場末の増田で都合よく日記を見つけられらたもんやな タレコミがあったのけ?

          • 私は「鴻巣の「あらすじ」のとおりだと読む」一人ひとりの経験的読者について、「「読み」が閉ざされた」と述べています 横だけど、一体それの何が問題なんだ? 「鴻巣の読みに影...

            • 記事の著者です。二つの水準で問題です。 一つはおっしゃる通りで、実在の人物である作者の母親についての誤解が生じるという点で問題です。大問題です。 もう一つは、鴻巣の行為と...

              • 一つ目については、小説と現実を混同するバカな読者の責任を批評家に押しつけるな。そしてそれは読みを限定云々とは全く次元の違う話だ。増田の書きぶりから「現実での被害を想定...

                •  記事の著者です。  一つ目については、そもそも私は「現実での被害を想定して」一連の記事を書いていないので、読解できなくて当然です。桜庭自身が「実在の人物への加害」と「...

      • 作中で主人公は女性ですと明言されていない場合、読者が名前・話し言葉・周囲の人間の対応などから判断して女性と紹介してはいけない みたいなこと言ってるな

      • 作中に描写がなくても読者があったと受け取ったなら別にそう書くのは何の問題もない 増田の倫理観が壊れている

      •  「続・鴻巣友季子の時評は何が問題なのか」(https://anond.hatelabo.jp/20210829124450)の「鴻巣解釈の検討」の項だが、Twitterで鴻巣自身から、その読み筋についてのツイートは削除したので言...

        • 桜庭一樹さんの「少女を埋める」を今頃読み終えて、いろいろ心を揺さぶられる思いがして、この作者の著作を初めて読んだので、どんな人なんだろうとネット検索をしていて、鴻巣友...

    • 私小説であることの問題とは不可分やろ。 桜庭は「現実に家族が虐待していた/されていた」と誤解されることを危惧しているんやからさ。

    • 逆に桜庭の未熟さを強く感じた一件だったな 現実の人間を題材に小説を書けば、対象に対する暴力になるのは当然なのに、いままでそれに気付いていなかったのか、という

      • 私小説が現実に与える影響について作者が責任を負うのはわかるが、第三者が誤読して、いわばデマを振り撒いていることに対して、どうして作者が責任を取らねばならんのか。

        • 元増田が曲解してるだけで誤読とは言えないレベルだもん

          • >また、鴻巣の解釈がどれだけ妥当であるかについては議論しない。 元増田に「誤読」の文言はありません。

            • 横増にはあるし、議論しないといってるだけで元増は鴻巣の文章を曲解してるよ いや、そもそも読まずに適当言ってる可能性もあるか

    • これはなかなかポイントを射ている文章やね。 国語増田がまた激怒あるいは嘆息しそうな ここぞとばかりに「いったん書かれたものを読者がどう読もうが勝手で、作者が文句をつける...

    • 「解釈である部分についてあらすじとして断定的な書き方をすれば、それは小説の「読み」を閉ざしうるからである。」 ・鴻巣友季子の「あらすじ」を読んで「誤読だ」と言う人々がい...

      • で?って感じ。 ・作品を未読の、鴻巣評が「誤読だ」と言われていることを知らない(「うちの地元の高齢者」のような)朝日新聞読者にとって「読み」が閉ざされうることには変わり...

        • 解釈が増えることは読みを閉ざすことにならない 読みを閉ざすことを批判するならそれこそ作者にも読みを閉ざす権利はない

        • ・小説を「未読」の人間に小説の「読み」などなく、閉じるも開くもない。 ・桜庭が「誤読」の訂正を「お願い」するのは理解するが、「私小説だから」は関係がない。私小説だろうが...

    • noteに公開されてるぶんの「少女を埋める」読んだ。 なるほど、冬子の母の「虐めてごめん」というのは、若い頃からずっと妻(冬子の母)が夫(冬子の父)を引っ張る形で家族を運営し...

    • 「ルックバック」のあらすじを書くのに、「タイムスリップする」「パラレルワールドに飛ぶ」「あり得たかもしれない世界を妄想する」と要約するのも解釈と不可分だと思うのよな。...

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