2015-09-10

ソーセージの話

義実家へ泊まりに行ったときのこと。

トイレで大便をいたした後、いつものように水を流した。

ところが、フランクフルト並みの大きさのうんこが流れてくれない。

あれ、おかしいなと思ってもう一度水を流したところ、水が逆流してきた。

あわわ。あわてる俺。

このままじゃ溢れてしまう!と思わず股間を押さえたが、なんとかギリギリのところで踏みとどまった。

ついさっきまで俺の一部だったフランクは俺の焦りを余所にぷかぷかと水面を漂っている。

よそ様の家なので、なぜトイレが詰まったのか皆目見当がつかないし、対処方法も分からない。

困り果てた俺は、いったん尻を拭いて嫁さんに助けを求めることにした。

トイレットペーパーをがらがらっと引き出してふきふき。

あれ?

この手に持っている紙はどうしよう?

また、新たな難題が降りかかってきた。

詰まってしまったトイレにぽいっと放り込むのは何だか気が引ける。

しょうがない。尻に挟んでおこう。

え?トイレが詰まった?

驚く嫁さんをトイレに連れて行く。

ドアを開けて中を除いたとたん、嫁さんの動きが止まった。

不思議に思い嫁さんの視線を辿っていくと、そこには俺のフランクが浮かんでいた。

ああ、そうね。うんうん。俺、うんこしたって言ってなかったわ、そういえば。

「おおう」とも「あおう」ともとれる嘆息を漏らした後、私では分からないと嫁さんは義両親を呼びにいった。

ぞろぞろと義両親がやってきた。

「わああ」「こここれは」

なんだかよく分からない言葉を発しながらトイレを覗き込む義両親。

自分うんこがこんなにたくさんの人に見られたことがあったろうか。否。

これほど恥ずかしいことが世の中にあろうか。否。

こんなことになるくらいなら、うんこを尻の穴にそっと戻しておいたほうがよかったのであろうか。否。

創造主たる俺の複雑な気持ちや周囲の喧騒をよそに、フランクは我関せずといった不遜な態度でぷかりぷかりと浮かんでいる。

それにしても、なぜ詰まってしまったのだろう。そうそう頻繁に起こる出来事ではないと思うのだが。

結局、業者を呼んで調べた結果、義母トイレに流した薬のケースが詰まっていたことが判明した。

さあ、これで大丈夫。流しますよ。業者の人がレバーを倒すと、ぐるりと水流が生まれた。フランクはほんの少し水流に抗う様子を見せたが、水の勢いに飲み込まれ、消えていった。

ふう。これで一件落着。みんなにうんこを見られてしまったが、人の噂も75日。じきに忘れることだろう。

そう思っていたのだが、自宅へ戻る車中で嫁さんが遠慮がちに聞いてきた。

ねえ、いつもあれくらいなの?

あれくらいってなにが?

いや、あの、今日トイレの・・・あれ。

あれって・・・ああ、うんこのこと?

・・・・・・そう。いつもあれくらいの大きさなの?

まあ、大きさはまちまちだけど、平均するとだいたいあれくらいかな。なんで?

・・・・・・・いや、おっきいな、と思って。

え?おっきいの?あれが?

・・・うん。

まじか!?嫁子のはどれくらいの大きさなん?

え?いや、それは言えないけど、あんなにおっきくはないかな・・・。

(俺の衣つきフランクは大きいのか?)じゃあ、衣のついてないフランクフルトくらいの大きさ?

いやいやいや、そんなにおっきくないよ。

えええ?じゃあ、もしかしてシャウエッセンくらい?

・・・・・・まあ、そんな感じ//////

そ、そうなんか・・・。

今まで何の疑問も持たずに自分うんこは標準サイズだと信じていた俺にはショッキングな話だった。

それともうんこサイズには男女差があって、男性平均はやっぱり衣つきフランクフルトが正解なのだろうか。

なんなんだろう、このうんこデカいとなにやら恥ずかしく思えてくる気持ちってやつは。

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