2014-05-16

ビリー・ミリガン 破

二日たっても三日たってもAは学校に来なかった。

そして一週間が過ぎようとしたころ、ようやくAが現れた。

「どうしたんだよ?」

「元気だったか?」

俺とBはいものように話しかけた。

すると、Aは俺たちを黙って見て、自分の席に座り、

ランドセルから本を出して読み始めてしまった。

おれたちはAがなぜ無視したのか、まったく理解できなかった。

しばらくして、幼馴染の隣の家のCちゃんが話があると突然呼び出された。

おいおい告白か?

おれはのーてんきに放課後、Cちゃんがいる音楽室へとスキップしながら入っていった。

そこにはなぜか鼓笛隊の人々が集まっていた。

あれ、こんなところで告白かい

バカなおれはまだ告白されると思っていたのだ。

ちょっときて、とベランダに連れ出された俺。

「ねえ、Aくんと何かあったの?」

AとCちゃんは塾が同じらしい。

どうやら塾でAがおれとBの悪口を言っているので何かあったのか、と心配になったそうだ。

告白じゃねえのかよ・・・

まだおれはノー天気だった。

Cちゃんによると、クラスはいつも一心不乱に本を読んでいるAだが、

塾ではとても社交的で、クラスメートともすごく楽しそうにしているそうだ。

陰口を言われ腹がたったので、おれはBと一緒にAを呼び出した。

「おまえ、なんか俺たちの悪口言ってるらしいな。」

無言のままAはその場を去ろうとしたので、おれはかっとなってつい殴ってしまった。

初めて人を殴る感覚に驚きながら、さら自分が高揚していくのがわかった。

Aを棒高跳びようのマットレスに押し倒し、ぼこぼこにした。

俺とB、Aはもう友達ではなかった。

数年後。

高校生になった俺に突如Aから電話がかかってくる。

「○○。いままで悪かった。おれ、誰かに乗っ取られてたんだ。来週木曜5時に○○図書館に来てくれないか。それから、いま言ったことは俺には絶対言うなよ。」

「おまえには?なんだよ、どういうことだよ。」

「Bも誘ってみてくれ。くれぐれも言うが、おまえと会うことを俺には絶対に言うな。電話もかけてくるな。それだけは守ってくれ。」

まりにも必死なAの声に、おれは納得するしかなかった。

電話を切ってすぐにBへ連絡をした。

つづく

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