俺はハゲない、って思ってるやつに読んでほしい。
ある日突然その恐怖はやってくる。
あと、無料発毛体験行こうとしてる人もぜったい読んでくれ。
少し前の話。
俺25歳ね。
最近、部屋によく髪の毛が落ちていることに気がついた。
ちょっと手箒をするだけでこんもりと髪の毛が固まる。
最近掃除してなかったなーと思いながら毛の塊を捨てたのだがその夜気がついた。
おまけに一年前にはまったくたまる様子がなかった排水溝が抜け毛だらけだった。
ベッドシーツが紺色だったので気がつかなかったが枕周辺にも大量の抜け毛が。
当時そこそこ髪の毛が長かったせいで、抜け毛は確実に自分の頭から抜け落ちたものだった。
一気に血の気が引いた。
学生時代はツイストパーマしたり、ブリーチしたり、ストパーやったりと確かに頭皮にいいことはほとんどしていなかったが、親父もじいさんもハゲてなかったし、むしろ毛が多すぎると周りから言われてたため、ハゲに対する心の準備が全くできていなかったから、急に目の前にハゲるという現実が差し迫ったとき本当に心臓がドキドキ言い出した。
ちょっと頭を抱えるとハラリと髪の毛が2本ぐらい落ちてきた。
その髪の毛の毛根はもうあるんだかないんんだかわからない、むしろどっちに毛根がついていたのか肉眼では判別できない。
言いようのない絶望にも近い感情。
体験談なんか読んでいても、20代半ばで急に来たなんて人もいていっそう絶望。
「確かに、頭皮が透けて見えそうだね」と
客観的事実を頂いた。
それから、どうというわけでもないけど、一日中ハゲについて考えるようになった。
暇があれば、ハゲと発毛などについて調べる日々。
処方箋でもらえる薬は頭頂部にはあまり聞かず、体毛が濃くなるのか。
日本のリアップは海外よりも発毛成分が薄いから個人輸入した方がいいのか。
宮迫がやっているシャンプーはレビューに業者があふれていて信憑性が低いけども効きそうだ。
一日200本ぐらい抜けているけど、俺もそれぐらい抜けているかも。
シャンプーの度に排水溝にネットを貼って抜け毛の量を確かめたりもした。
最終的にはテレビで温水やブラマヨの小杉を見てもさっぱり笑えなくなった。
もう限界だ。
とりあえず原因だけでもわかれば対策ができる、そう思うようになった。
仕事が忙しく病院には行けなかったので、某育毛会社を調べると、抜け毛を送るといろいろ分析をしてくれるらしい、ということがわかったので資料請求をしてみた。
すぐに資料は届いたのだが、やっぱり面倒で、そしてなにより送る抜け毛の条件に「毛根がついているもの」という毛根があるのかないのかもわからない俺にとってはハードルが高すぎる条件のため放置していた。
資料は届きましたか?一度無料お試し体験をやっているので来ませんか?というお誘い。
無料で試せるなら、たしかにこの頭皮にとってもいいことだろうし、行ってみるか、ハゲで頭がいっぱいな俺は貴重な年末年始の会社休みのタイミングに予約をいれた。
予約すると、なんだか光明がさした気がしてすこし気が軽くなった。
正直、わくわくしてた。
で、当日。
普段行かない駅まで行って無料お試し体験をするために。
ところがどっこい。
まず、通されるのは応接室。
そして、なんちゃら部長が登場。
開口一言、「で、調子はどう?」
一応客(無料だけど)の俺に普通ため口で話しかけてくる時点でどうかと思ったが勢いに負けて、いつぐらいから抜け毛が始まって、一日どれぐらい抜けて、学生時代にはパーマをかけたとかポロポロ話してみた。
すると
「そりゃこのまま行ったらハゲね、間違いなく」
と宣告された。
抜け毛を見せてごらんと言われたので見せると
「これはまずいね。」
もう焦る俺。どうすればいいですか?と教えを請うと奴は顕微鏡みたいなので健康な毛根のサンプルを見せてきた。俺がネットで調べたときにも掲載されていたプックリとした毛根だ。
「これが僕の毛根」
自信満々に奴は言い放った。
そして、
「ハゲってのはいろいろ原因があるけど、頭皮が突っ張ることでハゲるの。突っ張るから毛根が抜けやすくなんの。」
ともっともなことを言い放ち、
「僕の頭皮柔らかいでしょ?」
と確かに柔らかい奴の頭皮を触らされた。
そのころには俺はこいつは髪の毛の神だと勘違いしそうなレベルに話をすべて信じていた。
いろいろ俺の毛根に駄目だしをされた後は、じゃあ無料体験やってみようか、という流れに。
カケテ美穂もいなければ、エミリもいない、普通のねーちゃんが俺の無料体験を施してくれた。
ちょっと気持ちのいいやつもあれば、頭皮が痛くなるようなものもあった。なんか雑談をした気もするが、覚えているのは
「最近、若い人も多いんすよねー」
というため口ぐらいだ。
で、洗面台を見たら相変わらずごっそり俺の髪の毛が抜けていた。
「これは多いっすねー」
といういろんなハゲを見てきたねーちゃんの言葉は予想以上に俺の心に刺さった。
無料体験が終わるとまた、さっきのおっさんがいた。
「どうだった?」
と聞かれたのでまあ気持ちよかったですと答えておいた。
こっからがやつの本番だった。
うちはこれを繰り返しやって頭皮を正常にして、特別な薬で発毛を促進させるんだといった類の話を始めた。
始めて速攻
「月々、いくらまでなら出せる?」
思考停止の俺はとっさに「一万なら…」と答える。
「一万か…、ボーナスは出るんだよね…、じゃあ…」
電卓をぱちぱちしながら奴は
「3年後にはフサフサだね」
と言い放った。
そっからは営業、営業で、このコースは月々4回までいつでも好きな時に来れるし、都度払いだから辞めたいタイミングで止められる、3年で生える。延々と聞かされた。
さらには、日々のケアとしてマイナスイオンの出るブラシ(なんか電源いれるとイオンで髪の毛が開いて薬品の吸収がよくなるらしい、そのあと違うスイッチを入れて髪をとくと髪の毛を閉じて薬品を閉じ込めるらしい)となんか頭皮をやわらかくする機材、シャンプーを込こみでやってみようみたいな話もしだした。
俺がちょっと冷静になってしぶってみると
「今日、こんな日にここに来た君は髪の毛をはやしたいんだ、間違いない」
「ハゲたらこの先の人生悲惨だぜ?」
「この製品はすべて俺だって試している、試して効果があると思うから君に勧めている」
「俺の髪の毛はこのブラシのおかげでまっすぐツヤツヤなんだ。」
「君が一歩動きだしたんだから、あとは走るしかない」
「君ぐらいの年でフリーターの人には勧めない、キミは勧めるだけの価値がある男だ」
と手を変え品を変えて勧めてくる。
なんつーか、もう洗脳された感じ。
最後には
「これからいっしょに生やして行こう」
結局手持ちがなかったので、頭金として1000円納めて、ローンの審査があるとかで、変なとこに電話させられてめでたく契約となった。
よく覚えていないけど総額80万ぐらいの契約だったはず。
時計を見れば2時半に予約したのにもう7時を過ぎていた。
次回の訪問時間を決めて、帰りに、ラーメン食いながら、このラーメン何杯食えるんだろう…なんて考えてた。
家に帰り、さすがに冷静になり、このあたりの無料体験について調べてみると、いわゆる大手みたいなところの発毛自体がほとんど効果がねー!!!!という口コミにあふれていた。
俺は速攻でクーリングオフの方法を調べて、彼女には「ハゲても好きでいてくれ!!」と言って書留でクーリングオフの手続きをした。
一週間後、小汚い封筒に千円とコピーでクーリングオフ受け付けましたという書面に印鑑が押された紙が届いた。
往復の交通費と書留費用、そしてなんだかわからない4時間程度の時間は授業料だったんだと思う。
そして、俺は仕事の異動をきっかけにか、博士のシャンプーのおかげかわからんが、3ヶ月後には抜け毛もおさまり今では再びボサボサになった。
今だからこうやってネタにできるけど、当時は本当に必死だった。友人にもそれとなく最近抜け毛が多いんだーなんて話して、俺も多いんだとかもさもさな奴に同調されてムキーとなったり、いろいろ心にも余裕がなかったと思う。
とにかく、みんな、昔の人はよく言ったもので
タダより高いものはないぜ、ということでこの話はお開き。
長いな俺の文章。。。スマン。
■追記(はてブで言われてること)
クーリングオフについて。
よくわかんなかったけど、一緒に買わされた機材だとか、シャンプーは次の初回のときに全部もらえるって話になっていたし、次からが料金発生ってことでまだなにもサービスが発生していなかったから普通にできたんじゃないかなぁと思う。
というか、申込書の控えの裏にクーリングオフについて超小さく書いてあったから一応OKだったんだと思う。
あとどうでもいいけど、ここの勧誘以来変なうさんくさいいろんな会社から不動産とかFXの売り込みの電話がくるようにもなった。これは関係があるのかわかんないけど。
※冒頭もちょっと追加した。
水道橋博士のシャンプー買ってくる。
もし、これでクーリングオフしないで、発毛を進めると ↓ 失敗 ↓ カツラに切り替え ↓ さらに100万の出費 ↓ カツラだから散髪も発毛会社 ↓ カツラカットしたから作り直し ↓ さらに...
20年前のはなしだけど、俺はカツラ買わされた。 いまは買収された方だけど、赤い緞帳のようなカーテンがたくさん掛かった部屋に2,3時間監禁されたと思う。 帰って相談するというと...
http://anond.hatelabo.jp/20090713224726 博士のシャンプー、たしか、去年くらいに会社がつぶれてたんだけどまだ売ってます?
怒濤のタメ口ぶり ジャルジャルのコントのようだ!