2023-11-09

学生とき

放課後教室、好きな女の子と二人きりになれたことがあった。

日直だった。

雑務を終わらせてからも二人で教室に残り、話し込んだ。

笑顔可愛い子だった。

ふいに彼女が「増田君って他人馬鹿で、自分のことを賢いと思ってるでしょ」と言われた。

悪意のない抑揚で、悪気を感じることはなかった。

でも、咄嗟に何も言い返せなかった。

なんだか見抜かれている気がした。

まれから一番恥ずかしいと心の底から思えた。

俺は思わず目を逸らした。

彼女からも。自分からも。

あの言葉と、彼女と一緒に過ごした教室の様子が今でも度々頭を過る。

十年経った今でも鮮明に。

今では自分のことを他人より賢いだなんて思うことはない。

しろ馬鹿野郎だ。

告白さえできなかったのだから

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