一緒に買物をしていた友人が、その日ブランドバッグを買った。
35万円のバッグを、2回払いで買っていた。
私は彼女のことを「変わったな」と思った。
高校生から一緒にいた彼女はこんなにもブランドが好きで東京に染まった女だったかと思った。
帰って、なぜかそのことが心から離れなくて、ずっと考えていた。
変わったのは私か。
「いいじゃん買っちゃいなよ」と言ったのは私だったのに、要は、妬ましかった。
35万円のバッグを買えない自分と比べていた。
昔なら、「稼いでるねえ景気いいねえ!ヨッ!日本一!」なんて茶化して、一緒に買物を楽しむことができたのに、
今はもう、「良かったね~」と笑顔を作ることが精一杯だった。
並々ならぬ努力をして、海外の大学を出て、華々しい職について、
同年代の平均からは飛び抜けたお給料をもらっていることを知っているからだ。
努力のどの字もない、のらりくらりと生きてる自分と比べていた。
比べて自己嫌悪で、ひたすら、落ち込んでいた。
まだ週末誘ってくれる友達のために、600円のラーメンを一緒にすすっていたあの頃と同じであり続けよう
浅ましいこの私をまだ数少ない友人のうちのひとりと言ってくれる彼女のために
年取っても白木屋行きそう