2022-12-25

クリスマスになると思い出す

ままごとみたいな恋だった。結婚生活でも同棲でもなく、ただ彼女の小さな部屋に通って彼女の作るご飯を食べて過ごすだけの生活を繰り返していた。クリスマスは外でディナーを楽しんだこともあったけれど、デパ地下ちょっと良い料理ケーキを買って彼女の家の近くで買ったチキンを食べたあのクリスマスが一番記憶に残っている。いつかままごとじゃなくなる日を願ってはいたけれど、お互いにそんな日が訪れないことは口に出さないだけで分かっていたから、子供じみたその時間がとても愛おしかった。多分俺たちはお互いをそれほど好きじゃなかったと思う。でも寂しさを埋めるためにどうしてもお互いが必要だった。生活だけじゃなくて愛情さえもままごとだった。それでも思い出すと涙が出てくる。そんな未来はなかったってわかっているのに、あの時彼女もっと受け入れていたら違う今があったのかな。

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