親を殺された。
たしかに俺たちも親を殺されて心底疲れ果てていた。どうしたらいいか途方に暮れていた。
そこに駆け込んできた奴らが復讐を綿密にお膳立てた。
俺たちの意見を聞こうとすることもなくあれよあれよと話は進み、復讐は計画されて実行された。
結果として俺たちの親の仇は死んで復讐は果たされた。
俺たちは協力者たちと祝杯をあげた。
協力者たちはワイワイと賑やかに楽しそうだった。
俺たち遺された側は、何とも煮え切らないまま途方に暮れたままだった。
なぜ俺たちの親は死なねばならなかったのか、わからぬまま終わっていた。
親を殺した仇が死んだことで、俺たちの納得の機会はどこかに行ってしまった。
火鉢から飛び出たあいつは秋しか活躍の場がなくて夏の閑散期の暇潰しだったのだろう。
女王に仕える一兵卒に過ぎないあいつは、単に自分がヒーローになる場を求めてちくりと刺しただけなのかもしれない。
普段はクソ味噌に扱われるあいつも自分を見下してる悪い奴をすっ転ばしてさぞ痛快だったに違いない。
最後に上からのしかかり息の根を止めたあいつだって、本来ならばぺったんぺったんと共に勤しむパートナーがいたはずだ。そいつはどこにいった?
俺たちの目の前で酒を酌み交わすお前たちは、お前らが本来目を向けるべき自分自身から逃げるようにここにいるのではないか?
俺たちの復讐は終わった。彼らの手によって。
だけど俺は何の感謝もできないし、どいつも俺の憎んだ猿と変わらないように思う。