偽物のウナギを食べた。
5種類ぐらい試しただろう。
どれもそれなりの違いはあるが、総じて言えることがある。
皮肉っぽい言い方、当てこすりのような表現になってしまったが、ウナギ風カマボコがあまりにもウナギじゃないことを罵倒するより、カニ風味かまぼこを褒め称えるべきだと思った。
だがカニかまとウナかまには決定的な違いがあって、カニはロシア人の頭がおかしくなって海に核廃棄物でも投棄しまくらない限りは絶滅しないということだ。
ウナギの絶滅は今そこに迫った危機であり、乱獲の加速によっては20年そこらでドードーと同じ枠組みの中に収まるだろう。
ウナギ風食品はそれにブレーキをかけるための商品だったはずだが、これを食べた多くの人が「今のうちにウナギを食わなきゃ」と思うことだろう。
この地球からヌラヌラとしたミミズとナマズの中間のような生き物を消し去りたいと思った誰かが、人類の食生活に対して行った介入なのだろうか。
とにかくウナギ風のアレはウナギを思わせる味はしないわけではないが、ウナギに対して感じていた旨味は全く感じさせない。
カニかまを食べてカニが食べたくなるかと言うと、いざ食べてしまうとカニかまで満足してしまうのは本当に凄いことだ。
ウナかまは食べるほどに本物が食べたくなる。
恐ろしい食べ物だ。