2021-04-14

2月末に「終わりにしたい」って言った。

昨年の流行歌脳裏をよぎって、状況にそぐわないと思いつつ、何故か吹き出しそうになった。

これであの人もあの曲の通りようやく笑ってくれるかしら、と思った。

しかし、何を血迷ったか、数日後にあの人は「妻に離婚を申し入れた。届出が終わったら、僕と付き合ってください」などとのたまった。

ええ、はいこちらこそよろしくお願いします。なんて情けない回答をして、そうか、身に余る喜びを享受した時、わたしはこんなふうに壊れるんだ。と、初めて知った。

それから一月以上が経過して、相変わらずあの人は奥さまと暮らす家に帰るために21時になる前にはわたし電車に押しやる。

今日外食してきて良いって言われてるから

そんなことを言ってジョッキに口をつける彼を見てると、やっぱりあの時受け止め損ねてわたしを壊した喜びは、わたしが得るべき喜びじゃなかったんだな、なんて卑屈な納得をしてしまい、

「なんだ、相変わらず普通に仲良くしてるんですね」

なんて可愛くない返事をしてしまった。

そしてあの人は冷めたピザを頬張りながら

「それに何て答えりゃいいの?」なんて不機嫌そうにつぶやいた。

今日会うんじゃなかったかな。

週末にも約束してる。きっとあの人はうちに上がりたがるだろう。

初めて肌を重ねた時は、ずっとこうしたかった、なんて感極まったりしてたけど、近頃は抱き合いながら孤独キスしているだけに感じて、あの時間が来るのが恐ろしい。

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