「それ、売ってくれない?」
週に1回くらい、ここでくだらない時間を過ごしてから、部屋に戻る。
彼のグチは、いつも常連客のことだ。「常連になってるバアァどもを相手にしてあげるのが、もう面倒くさい」、と。
鞄の中で雑に温めてあげていた、手持ちのトルマリンペンダントのサンプル3個を、とりあえずその場で売ってみた。15000円の現金収入。
彼は、それを「常連」に「私からのお守りです、大切に温めて下さい。あなただけの特別ですよ。」などと言いくるめ、適当に売りつけるのだそうな。
6000円の飲み代を払い、狭い階段から地上に出て、部屋に戻る。
ウイルス臭いから窓を開けろと社長に言われて、あわてて窓を開けると、雨混じりの湿った空気が事務所に入ってきた。窓の外は隣の雑居ビルの薄汚れた壁しか見えない。 いままで気づ...
「それ、売ってくれない?」 その夜、雑居ビルの地下にある、小さなバーに居た。 週に1回くらい、ここでくだらない時間を過ごしてから、部屋に帰っている。 彼は、職業を「占い師...