昔、横溝正史が原作の映画やドラマがよくやっていたので、自分も見ていた。
そこで描かれるのは陰湿な田舎社会で、かつてはこんな恐ろしい世界があったんだなぁと思っていた。
わたしは都会出身だったので、自分の周りと比較して、古臭い因習の世界はもうなくなったと思っていた。横溝正史の作品自体、そういう因習を乗り越える作りになっていたと思う。
しかし、インターネットによって可視化された「普通の人」の社会は、横溝正史が描いていた世界とさほど変わらない不寛容が渦巻いているのではないか。
あのとき素朴に信じられた「このような世界を私たちは乗り越えたのだ」という実感は、願望に近いフィクションだったのだと、今なら思ってしまう。
リベラル村やイスラム村や明治村があるだけだからね どこだって掟に逆らえば排除される