時折上司が鬼の首を取ったように言い出す「仕事以外の絵をわざわざ描く作家はバカだ!」というものいいに、同調できない。
「なんでそんなこと言うんですか!」と怒り出すほど子供ではない。
しかし、「そうですよねーw」「なんであいつらあんなムダなことしてるんでしょうw」という同調はできない。
好きな作家さんのことも、そうだ。「あの作品は、クソだな!」というものいいが、よく飛び交う。
賞をとったり、アニメ化が決まったりした作品でも、お構いなしだ。
みんな、上司を褒めそやす。自分だけは、どうしてもそれができない。
誰かの好きなものを知ろうとしたり、わかろうとしたりするのは、苦にならない。
入社するまでやったことのなかった、パチンコ、競馬、麻雀……ひとつひとつ、どんなことが面白いと思われているのか、わかっていくのは楽しかった。
どうしても自分の好きなもの、いいと思っているものを、わざわざ悪しざまに言うことだけが、どうしてもできない。
それが場を円滑にするためだとわかっていても、できない。苦しい。