はるかむかしの5月に先輩に「自分が空を飛ぶのを想像できる?」と聞かれた。すこし想像してから「じゃあ、それを教えて」といわれたので「両手を翼のように動かして飛んでました」と答えた。
そのあと先輩が「それを絵で伝えるのなら絵描きに、漫画なら漫画家、音楽なら作曲家、歌うのなら歌手、ひとりでしゃべれるなら落語、ふたりなら漫才、それ以上なら劇団、文章なら小説家に勝手に進むんだよなー」と言われた。
なんとなく5月になるとこの話を思い出す。
その職業のひとたちだけで社会は成り立たない、維持できないと今ならわかるけど、そのときはなんとなく悲しかったのも思い出す。そのときはふたりともなにかを信じていたのか、信じたかったのだ。