うちも認知症になった婆さんをしばらく介護してから施設に入れた。
介護と言っても巷に溢れているような壮絶な話みたいなことはほとんどなかったが、それでもそれなりに精神的にはクるものがあった。
元々婆さんのことは好きでも嫌いでもなかったが、入所直前頃にはすっかり嫌いになっていて
施設に入れるときも寂しさどころか「ああスッキリした、ざまあみろ!」という気持ちだったし
その後数年して婆さんが肺炎で危篤になり、親族として延命不要の意思表明をした時も申し訳なさや迷いなどは何もなく
「やっと他人に面倒かけなくなってくれるのか」と思うくらいだった。
それからさらに何年も経って、今思い返してみると、望んで認知症になった訳でもないのにそんな風に思われる婆さんも気の毒だったなとは思う。
でも、婆さんに対する怒りとか憎しみがあったからこそ、施設入所や婆さんの死に対して必要以上のダメージを受けずに済んだようにも思う。