炎天下何キロか走って何分間か歩いた後に乗り込んだ電車内で突然視界の異常と聴覚の異常、そして強烈なパニックを私が襲った。それは10分間続いた。
…一体あれは何だったのだろうか?転生の瞬間?…それとも死の宣告?あるいは地獄だったのかもしれない。
とにかく、信じられない緊迫感と生理欲求だった。圧倒的な心拍数と、白に支配された視界。しかし、生き延びた。
そして視界と聴覚と自身の健康が甦った。いくつかの進化をつれて。
その瞬間…。眼鏡越しに見える景色と耳から聞こえる音がいままでとまるで違った表情を見せた。
…しかし、明日のことは誰にも判らない。ここは21世紀。大都会の片隅で生きる私。そして何度目かの転生を経験している人間。我々は本当の死を知らないのだから…。