12日のことである。
母にはいつもテレビのクイズ番組で知らない言葉を覚えてはそれをティッシュの箱だかに書いておき、翌日辞書を引いて意味を調べ、納得したのをノートに書き溜めておくという癖があった。
その辞書は私が物心付いたころからある古いもので、紙は日焼けして茶色に、カドにはめくり癖がついて浮き上がっているという代物で、老年の母はそのちっさな字を老眼鏡を掛け目を細めながら一所懸命に読んでいた。
そんな折、そういえば母の日だなぁと思い、母に電子辞書を買い与えてみることにした。
翌日、会社から帰ってみると、電子辞書を片手に英会話を嗜む母が台所に立っていた。
Permalink | 記事への反応(0) | 21:22
ツイートシェア