父と姉が手を繋いでバージンロードを歩いてきた。無口で、泣いてるところも見たことのないとても寡黙な父親が涙を流しながら歩いていた。
その繋いだ手を新郎の手に渡す時、自分とその横にいた弟も泣いていた。嬉しいのが寂しいのかよくわからない気持ちだった。
自分は別に姉と特別仲が良いわけでもなかったから、結婚の報告を聞いた時も特に強く何かを感じたわけでもなかったし、式にもそんなに期待みたいなのはしてなかった。
でも当日は泣きっぱなしだった。
式中も披露宴の時も、3人兄弟で遊んだ昔の記憶が時々蘇ってきて、寂しくて仕方がなかった。
両親は自分以上に姉と長い時間を過ごしてきたのだから、余計にそれを感じていると思う。
そして目の前で幸せそうに立っている姉を見るだけで目に涙が溜まった。
姉の「ありがとう」という言葉がその日はやたら強く感じられたのを覚えている。
披露宴の最後の両親への手紙での「私は今幸せです」という一言と、それを聞いて泣く両親の姿を見れただけで、この日を迎えられて良かったと思う。そしてこの家に生まれて良かったと感じた。