隣人が殺された。もう一週間も前のことだ。犯人はまだ捕まっていないようだ。
ここ数日うちのマンションはその話題で持ちきりだ。会う人会う人なにか異様な浮かれ方をしている気がする。
増田にこんなことを書いている私も浮かれているのかもしれない。
それから新聞を毎日眺めているがこの事件は全く取り上げられていない。
少し気になって調べてみたらどうやら日本の年間殺人件数は1000件近いらしい。
当然全てを取り上げるわけにはいかないのだろう。センセーショナルな事件だけが紙面を賑わすことになる。
ニュースや新聞で取り上げられることだけが世界の出来事だと錯覚していたが、そうではないということに今更ながら気づかされた。
こういう言い方はなんだが、隣人は「地味な」「話題性のない」「つまらない」殺され方をしたのだろう。
だから誰も関心を払わない。
誰かが隣人を殺した。犯人は今も街に潜んでいる。隣人はもうこの世にいない。
この日本でその事実を知っているのは警察、遺族や友人、そして私のマンション住人だけだ。
怖い。