義実家で妻が子供を寝かしつけているとき、義両親が改まった様子で尋ねてきた。
「ええ、全くないってことはないですが、滅多にしないですね」
と答えると、義両親は心底驚いた様子だった。
「でも、何か不満とか、言いたいこととかあるでしょ。我慢しているんじゃないの?」
「いや、別に不満とかないですよ」
「ええーっ!本当に?だって、私たちなんて、ねえ、あなた」と義母が問うと
「お、おう」と義父も答える。
確かに、義両親が言い合いをしているところは何度か見たことがある。
妻が言うには、私がいない時にはもっと激しい喧嘩をしているそうだ。私の前では気を使って我慢しているらしい。
「私が物心ついたときからずーっと喧嘩してる。喧嘩するパターンも大体一緒。なんでこんなに気の合わない二人が結婚して一緒に生活しているのか分からない」
とも妻は言っていた。
「いやでも、ほら、喧嘩するほど仲がいいって言うし...。喧嘩しないのは、なにかほら、不自然な感じがするのよ」と義母は言っていたが、私たちだって、付き合いだしてしばらくした時期とか、一緒に暮らし始めた頃は喧嘩をしていた。
けれど、その都度、お互いの考えや思いを突き合わせ、同じことで再び言い争うことのないように話し合ってきた。
時には一睡もせず翌朝まで話し合うこともあった。
夫婦喧嘩とはこんなに身を削るものなのかと愕然とした夜もあったが、新しい朝が来て、新しい関係性を構築することができた。
そのおかげで、喧嘩をする頻度はどんどん減少していき、ここ数年は全く喧嘩をしていない。
喧嘩するほど仲がいいって、本当なのだろうか。延々と同じような喧嘩をしながら一緒に暮らしていくような生活、私には耐えられそうにない。