もう10年近く前のこと、テレビで報道されるような事件の「加害者の関係者」になったことがある。
加害者当人とは友人で、そのときはまだ未成年だった。わたしはネットのニュースで事件を知った。名前こそ出ていなかったけど、ああ彼だとすぐに思い当たった。その日の夜には、ある新聞社の記者と名乗る人物から「加害者」について話を聞かせてほしいと電話がきた。何でもいいから彼についてのエピソードを教えてほしい、取材に応えてくれれば3000円程度の謝礼は出す、などとその人は捲し立てるように言い、わたしは何も答えられず電話を切った。こうやっておいしい素材は提供されて、面白おかしく料理されて、画面に並ぶのだ。
神戸の女児殺害事件のニュースを見ていて、「加害者周辺の人たち」が次々と現れるのを見ていて、そのときのことを思い出した。みんな楽しそうだね。