「すいません」と声がして、なんとなく振り返ったら、
振り返ってしまったのが私だけだったので、
「ちょっと押してもらえる?」と私に言ってきた。
おそらく、浮浪者であろういで立ちに、ぎこちない車いすさばき。
困っているのだろうけど、ます初めに「振り向くんじゃなかった」と思ってしまった。
とはいえ、まあ車いすを押すだけなら別にそんな大変なことでもないし。
「どこまでですか?」と聞いたら、
「○○駅まで」と。
まあ、少々駅まではあるが私も駅に向かっていたので。
「はあ。」と言って、車いすを押しだした。
駅までの10分程度。男性はまあ何もしゃべらず、じっと乗っていて、
私は重い車いすを、汗をかきながら(荷物が多かったのもあるけど)必死で押していた。
駅に着いた時「○○線分かる?」と聞いてきた。
「私、違う線なんで、駅員さんのとこ行きますね」
とだけ伝えた。
○○線は分かるけど、分かると答えた時点で
と若干いらっとした。
駅員さんを見つけて
「○○線へ行きたいそうです」とだけ伝えてその場を去った。
もちろん、彼は無言だった。
まあ、いらっと自分の心もせまいなと思ったし、
本当に彼も困っていたし、人の助けは必要だったと思う、今は。
だだ、助けてもらう側のマナーってあるんではないかと思うのだけれど。
もう少し彼の言動に「感謝」とかがあれば、
私も、まあもう少し気分よくお手伝いできたんだけどな。
「ちょっと押してもらえる?」と私に言ってきた。 おそらく、浮浪者であろういで立ちに、ぎこちない車いすさばき。 車椅子の浮浪者なんているか?