2010-01-16

大阪大学基礎工学部情報科学科について

大学教育について話題になっているようですので、私が卒業した、大阪大学基礎工学部情報科学科について書いてみたいと思います。

大阪大学基礎工学部情報科学科は、昭和45年に最初に国立大学に設立された情報工学関連学科のうちの一つで、コンピュータサイエンスの分野では日本で最も古い歴史を持っている学科、ということになります。

情報科学科の特徴は、そのプログラミング実習の充実ぶりです。入学すると、まずPascalというプログラミング言語構造プログラミング勉強することになります。次にアセンブリ言語であるCASL勉強し、Pascalアセンブリ言語を応用してC言語勉強します。またその後、スクリプト言語であるPerl関数型言語MLオブジェクト指向言語としてJava学習します。

また、言語だけではなく、コンピュータサイエンスの基本であるアルゴリズムデータ構造についても幅広く学ぶことができます。

全ての実習は課題が出され、実際にコードを書かなければいけません。例えばC言語の授業の最終的な課題は、「shのようなシェルプログラムを作成すること」でした。最終的には、「Pascal風の言語CASLに変換するコンパイラを作成する」という課題に取り組むことになります。

大阪大学は全体的に単位の取得が厳しいことで知られていますが、情報科学科も例外ではありません。もしプログラミングをあまりしたことがないのであれば、遅くまで実習室にこもることになると思います。だけど、それは情報工学世界で生きていくためには必要な知識なのです。

実習で勉強する言語は、Javaを除くとあまり現在使われている主流の言語とは言えないのですが、様々な言語を学ぶのは「プログラミング言語はそれぞれに違いがあり、それぞれに適した用途がある」ことを理解することに繋がります。また大学卒業してから、新しい言語を学ぶ必要が出てきたとき、それに対応する能力を磨くことができます。

日本大学で、ここまで実戦的なコンピュータに関する教育を行っている場所はあまりないのではないか、と思います。コンピュータがどのように動いているのか、内部原理までしっかり教えてくれます。卒業生の進路は、研究者というよりは、エンジニアとして開発の現場で働くことが多いようです。

大阪大学入試問題は、東大京大と違って特殊な問題はそれほど出ません。努力でなんとかなるレベルだと思います。

情報工学は新しい分野なので、大学院研究するために必要な知識は他の分野ほど多くありません。このため情報工学科では、3年生の夏に大学院試験を受けて合格すれば、学部を卒業しなくても4年目から大学院に進むことができます。この仕組みを活用すれば、5年で大学院卒業できます。実際、学部生の1/4くらいはこの仕組みを活用しています。

もちろん、ここに書いたのは情報科学科の全てではありません。ネットにも他に情報がありますし、もし興味があったら、大学オープンキャンパスに行ってみるのもよいと思います。

コンピュータ世界は変化が激しくて、エンジニアとして生きていくのはとても大変ですが、それでもいい、プログラマとして将来何かを作りたいんだという人であれば、ここはそのための力を与えてくれるはずです。進学先として検討してもらえたら幸いです。

  • http://anond.hatelabo.jp/20100116204834 http://anond.hatelabo.jp/20100116180523

  • コンパイラ作ったりCPU作ったりシェル作ったりは普通じゃね? オーソドックスなカリキュラムだと思うよ CPUの原理やコンパイラの構造が、大きく変化することは無いから、授業しやす...

    • コンパイラとかCPUとかシェルとかSchemeとかやったよー。大学で。Fラン。 やっぱり、どこもやってるんだね。 とはいえ、ちゃんとそういう基礎が身についているか、単に単位はとったけ...

    • おお、反応をいただけるとは、どうもありがとうございます。 確かに保守的な内容と思われるかもしれないのですが、ここに書いたのは学部3年までの内容ですので、プログラミングを...

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