味気ないトースト朝食にクノールのカップスープを足すだけでひとつ上の朝食時間を楽しめる。
というか、ルーティンの食事メニューを変更すると逆に不満を覚えるタイプだ。
おいしい、とか、まずいはもちろん大事だが冒険をしてハズすよりも、
きちんと美味しいとわかりきったものをルーティンで食べるほうが好きだ。
だからクノールのカップスープを買うときにはコーンスープ(コーンの粒入り)一択だ。
ごくたまに間違ってコーンスープ(クルトン入)を買ってしまうが味は同じなので許容範囲だ。
しかし、そういう私にも人間である以上気まぐれな精神の天使が訪れる時はやってくるもので、
たまには他の味を買ってみようと、その日はキノコのスープを買ってみたのだ。
翌日の朝、少しワクワクしながら食してみた。
これじゃない。
残念ながら、想像していたのと違う。
ああ、やはりルーティンを外れるべきではなかった。
精神にやや病を抱えているのか、
私はこういうときに自分でも驚くほど後悔と自分の迂闊さに落ち込んでしまう。
自分でも愚かだと思いますが、そういうふうに出来ているので仕方ないのです。
でも、私の伴侶はそういう私のことを数年掛かりで理解してくれたようで、こういうときに上手く救いの手を差し伸べてくれるときがある。
混ぜりゃいいんじゃない?
こないだのコーンスープ、一袋まだ残ってるから混ぜりゃいいんじゃない?
そのスープをお皿に移し替えて、
そこに新たにコーンスープの素を入れて、新しくお湯を注ぎ入れた。
多分、好きな味だと思う。
と言って私の前にスープの入ったお皿とスプーンを置いてくれた。
というか私がきのこスープを手に取ったときイメージした味にとても似ている。
きみ天才だね!
そして、しばらく、そんな変な私をほっといてくれる、彼のことがとても愛おしい。
でも、もうそんな彼はこの世に居ない。