祖母と母とその兄弟と、まあ家とか土地とかいろいろ揉めたらしく、ここ数か月次第に口論が激しくなるようになっていた。
俺は22歳超えてなお子供部屋・学生・チー牛のゴミカス野郎なので発言権は無いに等しく、大人たちが言い合いしているのを傍目にしていた。
2週間くらい前、とうとうなにか決定的な決裂が起こったようだった。それからもうあれあれよと祖母の荷物が片付き、3日前に母の弟と引っ越していった。行先は知らない。
俺が生まれてこの方、実家に祖母がいないということがなかった。
小さい頃は勝手に入って怒られた。けどそのあとには必ず駄菓子をくれた。
俺一家が実家を離れて暮らしていたとき、親と喧嘩したら何も言わず泊めてくれた。
戻ってきてから、母と祖母はなんかずっと揉めていたが、それでも毎日晩御飯を用意してくれた。
祖母がいなくなった実家はどこか浮いたようで、この家は祖母がいて、初めて俺にとっての「実家」だったと感じた。
「(俺)くんありがとね、お世話様でした」がたぶん最後の言葉なんだと思う。次会うときはそういう時だろう。
ぽつんと部屋に残ったアシステックのそこそこ高いベッド(これは母が祖母に買ったもの)が寂しくて、ここで30年近く寝起きしていた人がこの部屋に戻ることはもう無い事実がただ苦い。
増田一家が出ていくならともかく祖母の方が出ていったのか 生々しい
同じ屋根の下にいながら圧倒的他人事感とか思い出を語りながら会いに行ったりする気持ちはみじんもない所とかなんか草生える