倦怠期と言ったらそれまでかもしれないけれど、少し前までデートの別れ際には「楽しかったよ」なんてラインがきたもんだ。節目に手紙を貰ったこともあった。タイミングも悪かった。大学デビューした私が化粧っ気を出して私服に気を使う用になったのはちょうどその頃で、よく見た目を褒められるようになった。
結果、不安に駆られた私が、どこが好きなの、私のこと好きなのと面倒臭い質問をしても、かわいいと言われたり、キスされたり、勃起した局部を押し付けたりして誤魔化されてしまう。誤魔化しなのか本音なのかはわからない。二人で布団でゴロゴロしながら聞いたシチュエーションは逆風だった。
思い返せば最初から彼は本音を隠す人ではあった。悪く言えば八方美人で小心者。目に見える好成績も、水面下の足掻きも隠したがる格好つけ。
昔のラインはもっと顔文字つかってた、マメだった、と言ってみたことがある。そうしたらあの頃は若かったと言われた。
倦怠期なんか無い、変わらずずっと好きだよと(勃起した局部を押し付けながら)言われたことがある。彼の中では本音なんだろう。
もう、嫌になっちゃって、「もっと私に惚れさせようとしてよ。ちゃんと格好つけてよ」と言ったら逆効果だった。何を考えているのかサッパリわからなくなった。彼は反省した。その結果、より隠すようになった。具体的な最近の身の回りのしょうもないエピソードを。どんな風に休日を一緒に過ごしたいのかを。寝坊した日のお昼ごはんをスーパーで食材を買って作ってほしいか、面倒臭いし外食で済ませたいのか。
わがままもたまに言うけれど、それは私の願望を予想して先回りして俺様なふりをしているだけだ。実際何回かはずして私を本気で苛立たせている。
もう疲れた。前みたいにラインしてよと言えばもしかしたらしてくれるかもしれない。でも、それで私は満足するんだろうか。私は彼のどこが好きなんだったろうか。気がきく、優しいところじゃなかったっけ?なら私は彼にどうして欲しいんだろう?「私に本音でぶつかった結果うまく折合う」なんていう奇跡的な状態じゃないと私って気が済まないのかな?
つかれた。
お前倦怠期なめてんのか。本当の倦怠期は局部すら勃起しない。出直してこい。