2008-11-06

昔やっていたネットゲームログインしてみた

 そのゲームは、友達に誘われて始めたもので、ラグナロク系とでも言おうか、よくあるクリック連打ゲーであり、高めの月額課金だったけれど、なぜだかハマっていた。

 飽き性の私にしては珍しく数ヶ月程、他人に比べればずいぶんのんびりと、私にしては熱心にキャラクターを育てていたゲームだ。

 途中で、ゲームに誘ってくれた友達の友達赤の他人じゃないかと言われればその通りである)が主催するグループにも入り、しかし一人で戦っているのが好きだった私は、ソロをしながらチャットを眺めるだけだった。

 そして時間も過ぎていって、グループメンバーは日毎にいなくなっていき、友達もログインするのをやめ、そして私もやめてしまった。

 引退宣言などはしていない、するような相手がいなかったと言うのが正しい。

 なぜなら、私がやめた頃にはもうグループメンバーは誰一人ログインしなくなっていたから。

 交流しない、あるいはできないタイプだった私は、グループ以外に知り合いはいない。

 だから、再度ログインしても、ただ自分のキャラクターを走らせることができるだけだ。

 それでも久しぶりにログインしようと思ったのは、新しいキャラクターが増えていた事と、古いアカウントの一斉削除があったと風の噂で聞いためだった。

 あまり変わっていない公式ページを開き、ざっと見回る。

 いつの間にか基本無料アイテム課金になっていたらしい。人が減った?時代の流れ?いずれにしても、ログインしやすくなったのはいいことだ。

 アカウント削除を知らせるページを見る。

 「古いアカウント削除について」というタイトルのついたページの記述によると、削除されるアカウントの条件ではないので、自分のアカウントは消されていない。

 それはわかっていたが、もしかしたら消されたかもしれないと、そんな考えが頭をよぎった。

 恐ろしかった。自分でもわけがわからないほどに、ひどく、恐ろしかった。ログインしなければならないと強く思った。

 スタートからゲームを起動してパッチをあてる。

 ……エラーが出る。

 そういえばこのゲーム自動アップデートがうまくいかないゲームだった。

 いつもエラーが出るから、仕方なく最新版をダウンロードし、再インストールするのが常で、それを友達と愚痴ったりしたものだ。今回もまた最新版をダウンロードして、手動アップデートをする事にした。

 インストーラーの画面も相変わらずだ。ジリジリとインストール状況を表示するバーが動き、やがて100パーセントになった。

 またゲームを起動する。今度はちゃんと起動した。

 突然別プログラムが走る。

 何かと思ったらプロテクト用のソフトだ。このゲームもこれを使うようになったんだ。あんなにひどい運営だったのに、それなりに仕事してるじゃないか。

 そしてタイトル画面。きれいでどこか懐かしい音楽。この音楽に惚れたと言っても過言ではないほどに好きで、サントラまで買った。

 ゲームスタートの文字をクリックすると、規約が羅列される画面になる。同意のボタン押して進むと、サーバリストが出てきた。

 懐かしいサーバ名が並ぶ。いつもログインしていたあのサーバをチェックして次に進む。

 アカウント名とパスワードを入れる画面になった。奇跡的に両方とも覚えていて、スラスラと入力エンターを押す。

 サーバからの返事を待つこと数秒、キャラクター選択画面が出てきた。

 ああ、無事だ。自分の育てたキャラクターはまだ存在していた。まだ、生きていた。安堵して、思わずため息がもれた。

 メインで使っていた、一番レベルの高いお気に入りのキャラクターを選択する。数秒の間があって、画面が切り替わった。

 キャラクターが降り立ったのは、一番良く使った町の銀行だった。たぶん、物やお金を預けた後ログアウトしてそのままだったんだろう。

 銀行には自分以外のプレイヤーは見えない。

 人、減ったんだな……。

 そう思いながら持っているアイテムや装備を見て、ステータスを見る。

 こんなに育てたっけ?と思った。記憶が薄い。

 グループ情報を見る欄にカーソルが合わさり、グループ情報が表示される。

 私がいたグループはなくなっていた。

 多分、主催者が長くログインしていなかったからだろう。主催者が長期間ログインしていないグループ自動的に消えるようになっていたはずだ。

 なんだかすっきりとした気分だ。

 グループが共同で使う倉庫レアアイテムがかなり入っていたが、だれかが持ち出していない限り消滅しているはずで、それは惜しいとは思ったけれど、それだけだった。

 薄情なんだろうか。わからない。

 いずれにしても、もう誰ともつながりがない。

 ひとりだ。

 そうして、一人のまま戦いに出かけた。

 いつも行っていたダンジョンへ行くと、レベル差を表すモンスター名前の色が違った。どうも修正が入ったらしく、昔より相手のレベルが低い。戦ってみると、すんなりと倒せた。弱くなっている。

 驚いたのは、入ってくる経験値はむしろ昔より高くなっていた事だった。

 変わったんだ、そう思った。

 結局、その日はそれだけを確認して、ゲームを終えた。

 それから、数日に一度、数時間だけログインするようになった。

 昔ほどの情熱はない。

 ただ、どんな風に変わったのかを確認するように、少しずつ、見慣れた町を、昔はレベル関係で入れなかったダンジョンを、やめた後に増えたダンジョンや町を見て回る。

 知り合いは作れてないけど、一人でも結構楽しくて、つい夜更かししてしまう。いけないいけない。ネット廃人は危ない。

 いつかまた、ふとしたきっかけでやめてしまうかもしれない。いや、確実にそうなるだろう。

 それでも私は今日ものんびりとキャラクターを動かしている。






キャラクターを消されて通報したという事件を見て、ふと書いてみようという気になっただけの半分フィクション、半分作り話。

たとえゲームでも愛着ってあるので、キャラクター消されると悲しいし嫌なんです。単なるデータ相手なんですけどね。

  • 半分フィクション、半分作り話。 http://anond.hatelabo.jp/20081106220503

    • ノンフィクションとフィクション書き間違えたのー!バカバカうわーん! いやでも作り話ってことでいいや。 ちょっと恥ずかしい話ですし。

  • 月額課金時代が楽しかったな、と少し懐かしくなった。

  • まあ読んでないんだが、7年前くらいに作ったヤフーIDが未だに生きていたのを知った時は感動したw

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    • http://anond.hatelabo.jp/20081020043845 RMT むちゃPKされたのを思い出しいろんな意味で泣けてきた。

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