そのゲームは、友達に誘われて始めたもので、ラグナロク系とでも言おうか、よくあるクリック連打ゲーであり、高めの月額課金だったけれど、なぜだかハマっていた。
飽き性の私にしては珍しく数ヶ月程、他人に比べればずいぶんのんびりと、私にしては熱心にキャラクターを育てていたゲームだ。
途中で、ゲームに誘ってくれた友達の友達(赤の他人じゃないかと言われればその通りである)が主催するグループにも入り、しかし一人で戦っているのが好きだった私は、ソロをしながらチャットを眺めるだけだった。
そして時間も過ぎていって、グループのメンバーは日毎にいなくなっていき、友達もログインするのをやめ、そして私もやめてしまった。
引退宣言などはしていない、するような相手がいなかったと言うのが正しい。
なぜなら、私がやめた頃にはもうグループのメンバーは誰一人ログインしなくなっていたから。
交流しない、あるいはできないタイプだった私は、グループ以外に知り合いはいない。
だから、再度ログインしても、ただ自分のキャラクターを走らせることができるだけだ。
それでも久しぶりにログインしようと思ったのは、新しいキャラクターが増えていた事と、古いアカウントの一斉削除があったと風の噂で聞いためだった。
あまり変わっていない公式ページを開き、ざっと見回る。
いつの間にか基本無料のアイテム課金になっていたらしい。人が減った?時代の流れ?いずれにしても、ログインしやすくなったのはいいことだ。
「古いアカウント削除について」というタイトルのついたページの記述によると、削除されるアカウントの条件ではないので、自分のアカウントは消されていない。
それはわかっていたが、もしかしたら消されたかもしれないと、そんな考えが頭をよぎった。
恐ろしかった。自分でもわけがわからないほどに、ひどく、恐ろしかった。ログインしなければならないと強く思った。
……エラーが出る。
そういえばこのゲームは自動のアップデートがうまくいかないゲームだった。
いつもエラーが出るから、仕方なく最新版をダウンロードし、再インストールするのが常で、それを友達と愚痴ったりしたものだ。今回もまた最新版をダウンロードして、手動アップデートをする事にした。
インストーラーの画面も相変わらずだ。ジリジリとインストール状況を表示するバーが動き、やがて100パーセントになった。
またゲームを起動する。今度はちゃんと起動した。
何かと思ったらプロテクト用のソフトだ。このゲームもこれを使うようになったんだ。あんなにひどい運営だったのに、それなりに仕事してるじゃないか。
そしてタイトル画面。きれいでどこか懐かしい音楽。この音楽に惚れたと言っても過言ではないほどに好きで、サントラまで買った。
ゲームスタートの文字をクリックすると、規約が羅列される画面になる。同意のボタンを押して進むと、サーバリストが出てきた。
懐かしいサーバ名が並ぶ。いつもログインしていたあのサーバをチェックして次に進む。
アカウント名とパスワードを入れる画面になった。奇跡的に両方とも覚えていて、スラスラと入力しエンターを押す。
サーバからの返事を待つこと数秒、キャラクター選択画面が出てきた。
ああ、無事だ。自分の育てたキャラクターはまだ存在していた。まだ、生きていた。安堵して、思わずため息がもれた。
メインで使っていた、一番レベルの高いお気に入りのキャラクターを選択する。数秒の間があって、画面が切り替わった。
キャラクターが降り立ったのは、一番良く使った町の銀行だった。たぶん、物やお金を預けた後ログアウトしてそのままだったんだろう。
人、減ったんだな……。
そう思いながら持っているアイテムや装備を見て、ステータスを見る。
こんなに育てたっけ?と思った。記憶が薄い。
グループの情報を見る欄にカーソルが合わさり、グループの情報が表示される。
私がいたグループはなくなっていた。
多分、主催者が長くログインしていなかったからだろう。主催者が長期間ログインしていないグループは自動的に消えるようになっていたはずだ。
なんだかすっきりとした気分だ。
グループが共同で使う倉庫にレアアイテムがかなり入っていたが、だれかが持ち出していない限り消滅しているはずで、それは惜しいとは思ったけれど、それだけだった。
薄情なんだろうか。わからない。
いずれにしても、もう誰ともつながりがない。
ひとりだ。
そうして、一人のまま戦いに出かけた。
いつも行っていたダンジョンへ行くと、レベル差を表すモンスターの名前の色が違った。どうも修正が入ったらしく、昔より相手のレベルが低い。戦ってみると、すんなりと倒せた。弱くなっている。
驚いたのは、入ってくる経験値はむしろ昔より高くなっていた事だった。
変わったんだ、そう思った。
結局、その日はそれだけを確認して、ゲームを終えた。
昔ほどの情熱はない。
ただ、どんな風に変わったのかを確認するように、少しずつ、見慣れた町を、昔はレベルの関係で入れなかったダンジョンを、やめた後に増えたダンジョンや町を見て回る。
知り合いは作れてないけど、一人でも結構楽しくて、つい夜更かししてしまう。いけないいけない。ネット廃人は危ない。
いつかまた、ふとしたきっかけでやめてしまうかもしれない。いや、確実にそうなるだろう。
半分フィクション、半分作り話。 http://anond.hatelabo.jp/20081106220503
ノンフィクションとフィクション書き間違えたのー!バカバカうわーん! いやでも作り話ってことでいいや。 ちょっと恥ずかしい話ですし。
月額課金時代が楽しかったな、と少し懐かしくなった。
まあ読んでないんだが、7年前くらいに作ったヤフーIDが未だに生きていたのを知った時は感動したw
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96〜97年ぐらいのdiablo時代は、cheat全盛でitemにそもそも現実価値がなかったから予想不可でしょう。 その後のUOで、まずゲーム内の不動産がすぐにRMTされるようになったよ。城10万とか普通...
http://anond.hatelabo.jp/20081020043845 わかりやすかったです。 あとはMMORPGの市場拡大とRMT市場の拡大はリンクしてるのではないかな? これは自分もいろいろ検索していて思った。 そもそもMMORP...
http://anond.hatelabo.jp/20081020043845 RMT むちゃPKされたのを思い出しいろんな意味で泣けてきた。