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S&P 500(エス アンド ピー ファイブハンドレッド、エス アンド ピー ごひゃく)、スタンダード・アンド・プアーズ500種指数(英語: Standard & Poor's 500 Stock Index)とは、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが算出しているアメリカの代表的な株価指数である。
ニューヨーク証券取引所、NYSE MKT、NASDAQに上場している企業の中から代表的な500社を選出し、その銘柄の株価を基に算出される、時価総額加重平均型株価指数である。なお、社数は500社だが、1つの企業の銘柄で議決権の有無などによる複数のクラスがある場合は、銘柄数が500より多くなる場合がある。本指数はアメリカ合衆国企業の株価指数であることを意図しており、上記の証券取引所の上場銘柄であっても、アメリカ企業でないと判断された銘柄は本指数の対象外となる
承前 : Part-5 https://anond.hatelabo.jp/20201008100556
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前回、AmazonにL7で行ったXさんの例が出た。実際に彼がどれだけの収入を得たのか、株価がそれにどう影響したか、詳細を見て行こう。
人物特定を避けるため時期や額について多少の変化をつけていることを注意しておく。
彼のTCは$700k。以前のせたlevels.fyiでの数字はSeattle等ほかのworking siteでの数字(1-2割低くなる)も含めた平均であり、かつ彼は交渉をうまくしたのでこうなった。内訳は4年間の平均で、一年毎にサラリー165k、RSU 420k, sign on bonus 115kだ。
これを実際の時系列でみてみるとずいぶん印象が変わってくる。Amazonの場合、RSUのvestingが少々特殊であるためだ。
Income\Year | Year 1 | Year 2 | Year 3 | Year 4 | Total |
---|---|---|---|---|---|
Salary | $165k | $165k | $165k | $165k | $660k |
RSU | $84k | $252k | $672k | $672k | $1,680k |
Bonus | $253k | $207k | 0 | 0 | $460k |
TC | $502k | $624k | $837k | $837k | $2,800k |
上記のように、AmazonはRSUを3-4年目に集中的にvestする。一年目終了後に5%, 二年目終了後に15%, 以降半年ごとに20%だ。
RSU-heavyなことと相まってこのままだと一,二年目に社員が困窮する可能性がある(特にmortgage!)。そのためsign on bonusを1-2年目に配布する。
最終的な総計は変わらない。四年間で$2.8M、TCは一年毎に$700kだ。
しかし、彼の実際の収入はそれよりもかなり高かった。Amazonの株価が高騰したのだ。
仮に彼が2015年初頭にオファーを受け取ったとしよう。そのオファーレターにはRSU報酬の「金額」は当然書いていない。代わりにRSUの「株数」が書かれている。このRSUの株数は通常、TCとその時点の株価から逆算してTCがその額に「なるように(target)」株数が決められる。((あるいはそのように交渉する、といったほうが正確か。RSUの総配布数は組織ごとに予算決定時にあらかじめ決められ、その枠の中からオファーを出す。これが尽きてオファーを出せなくなることをRSU depletionと呼ぶ。)) 2015年初頭の$AMZNは$312。なので彼は5,400株のRSUをGrantされたことになる。
そして、実際にRSUがvestされ社員が売却した時の総収入は株価に影響される。彼の場合、vest直後に売却したと仮定すると、
2016年一月末、2017年一月末、2017年七月末、2018年一月末、2018年七月末、2019年一月末の株価が重要となる。
Income\Year | Year 1 | Year 2 | Year 3 | Year 4 | Total |
---|---|---|---|---|---|
Salary | $165k | $165k | $165k | $165k | $660k |
$AMZN | $587 | $823 | $988(Jul), $1,451(Jan) | $1,777(Jul), $1,718(Jan) | |
Realized RSU | $158k | $665k | $1,064k, $1,563k | $1,914k, $1,850k | $7,213k |
Bonus | $253k | $207k | 0 | 0 | $460k |
Realized Comp | $576k | $1,037k | $2,792k | $3,929k | $8,333k |
なんと、彼の実際の収入(Realized compensation)は三倍に膨れ上がったのだ。四年間で$8M以上。
プロ野球選手でもこれだけ稼ぐ人は少ない。これが一技術者、しかもまださらに上がいるL7で起こるというのがシリコンバレーの狂っている所だ。
このように、TCを議論するときに「オファー時の額」「実際に入った額」を区別してtarget compensation, realized compensationと呼ぶことがある。
通常使うのはtarget compensationである。少なくとも自分の周りでは。未来のことは誰にもわからないのだから、複数社からのオファーを比べるためにTCを導出するときはその時点の株価を使うしかない。
しかし、世の中にはそう考えない人もいる。自分がある企業からオファーを受けたとき、対面交渉の段階でそのhiring managerがこう言い始めた。
「確かにうちのオファーはあちらの企業よりもTCが低いね、でもexpected stock appreciationのことを考えてみよう.」
自分は少し戸惑った。彼がStock Appreciation Right (SAR, ストックオプションのようなもの)のことを言っていると思ったのだ。
「うちはRSUが多いから、うちの株価が今後四年間、年間 Y%で上がっていくと仮定すると君のrealized compensationは...」
といって目の前で電卓アプリをたたき始めた。なんと、この人は株価の将来のappreciationが分かるというのだ! しかもY%はその時のNASDAQ compositeの平均成長率よりもかなり高い数字だった。Stonks only go upとでも言うのか、このGen-Zめ!
上場企業の株価が今後どうなるか、確実にわかるはずがない。わかるならば仕事などせず株取引だけで暮らしていける。
自分はその人の交渉手法を危険だと感じた。自分が同じことをしようとは思わない。その言葉につられて応募者が入社した後に株価が下落したらどうするのだ。
訴訟とはいかないまでも、その社員がHRやLegalに苦情を持ち込んだとしたら。
オファーレター等、証拠が残るところに一切そんな言葉がなくても、複数社員が同様の苦情を入れたら、HRが自分を守ってくれる自信はない。
定期的に行われる、たるいクリック連打訓練は社員の教育のためではなく、不祥事の際に全責任を社員におしつけるためのものだ。
Legalは自分のterminate letterを発行するのに微塵の躊躇もないだろう。それこそseveranceがもらえるかさえもわからない。
自分はそのhiring managerに不信感を抱き、最終的には他のところに行った。
自分は他の人に転職の助言をする際、株価の下落リスクを考えるように強調している。
Tech株が近年好調であるのは確かだが、一寸先は闇である。IBMを見よ、一昔前のMSFTを見よ。
株価が上昇することを前提に将来を決めるのは非常に危険だ。実際、IBMに2010年ごろに移った知人は後悔しきりであった。
さて、自分がオファーを断ったその企業であるが、その後、Y%を遥かに超える株価成長を続け、自分の心を削った。
所与の状況で自分が間違った選択をしたとは思っていないが、それでも時折そのオファーレターを見返すことがある。
シリコンバレーではよくある話である。Googleの早期社員になりえたひと、FBの早期社員であったかもしれない人、
そういう人はたくさんいるが、別に彼らが不幸そうには見えない。彼らにその時のオファーレターについて聞くと、
みな同様に時折見直す、という。人生の大事な選択をするまえに、来し方を見返し、自分の心が均衡を保っているか、
何があっても後悔をしない心構えができているか、自分の人生は何のためにあるのか、心をはせるツールである。
次回はRSU Refresherについて。
夕食を食べ終わって、晩酌しながらネットサーフィンをしていると、頭がくらくらするニュースが目に入ってきた。
オンライン会議で最近メジャーになったZOOMの決算が良かったらしく、1日で30%も株価が上がっているというのだ。
いくら成長性が高いとはいえ、1日で時価総額がこんなに増えるなんて、この値動きは完全にバブルとしか思えない。
ちなみにどのくらいバブっているかyahooファイナンスで調べてみると、株価を1株当たりの利益で割った割安性を示す指数のPER(Price Earnings Ratio)は5000倍近く。
どういうことかっていうと、例えばオイラがアラブの石油王の隠し子だったとして、5000兆円ほど自由に使える身だったと仮定する。
ZOOMの将来性を見越して、ZOOM株を100%買い占めてオイラの所有物にしたとしよう。この時の買収にかかる費用は時価総額(=株価x総株数)に等しくなる。
(買収合戦で値上がりするとかは考えない。)
この時の投資金額を回収しようと思ったとき、PERが5000倍っていう事は、1年で出る利益が1株当たりの株価の1/5000しかないという事。
1株500ドルだっとすると、利益はわずか10セント。要するに買収でかかった費用の元を取るのに5000年かかってしまうってことだ。
まあ、このままZOOMの事業がぐんぐん成長していけば、利益も右肩上がりになるはずなのでそのうちPERも下がってくる(=5000年かからずに元を取れる)だろうと考えられなくもないのだけども。
今日話題になっているZOOM以外でも、やれテスラやAmazonだ、謎の半導体メーカーのNVIDIAだと、アメリカ株の景気が良い話はよく聞くが、何でも上がっているかというとそうではない。
何を隠そう、オイラは実は渋谷区在住の米系外資エリートリーマンなのだが、そんなオイラの勤務先の株価はいまだにコロナ前につけたピークの2/3といったところである。
アメリカ株がなんでも上がっているなら、日ごろから会社で大活躍しているオイラはご褒美にもらったストックオプションでウハウハだったのに!悔しい!泣いちゃうぴえん...
さて、賢明な読者はおめーの業種がハイテクじゃないからダメなんじゃないの?と思われるかもしれない。
だが、外資系エリートリーマンのおいらがクレバーでスマートな頭で調べた結果判明したのだが、同じハイテクでも勢いのない会社や地味な会社はそこまでバブっていないのだ。
例えば半導体業界を例に出してみるとこんな感じになる。いかがだろうか。Intelに勢いがないのは事実が、半導体ブームで恩恵を受けそうな他の大手メーカーも含めて、セクター自体は実はそんなに割高でないことがわかる。
withコロナで人と人との接触を減らさざるを得なくなって、在宅勤務、勤め先の外資風に言えば 『ワークフロムホーム』が主流になれば、データセンター需要が爆発するので半導体関連の株価はなんでも上がる。
(データセンターで使われるサーバーにはGPU以外にもCPUもメモリもどんな半導体も入ってるよね?半導体増産するために装置バカ売れするはずだよね?)
そのシナリオが真なら、市場シェアが高いはずの上記企業の株価はなぜ割安に放置されているのだろう?
結論を言おう。
今の株価は決して合理的なプライシングではないバブルである。そしてバブルははじけるものと決まっている。
強気派はいつだって株価が割高でないと同じことを繰り返し言う。
直近ならこんな感じだ。
「PERなんて指標はゲームのルールが変わって役に立たなくなったんだよ。株価は未来を先取りする。ハイテク企業のイノベーションが世界をレボリューションしている限り経済は成長する!(だから株価は上がり続ける)」
同じようなことはリーマンショック、俺たち外資風に言えば『フィナンシャルクライシス』の前にもさんざん言われていた。
「PERなんて指標はゲームのルールが変わって役に立たなくなったんだよ。株価は未来を先取りする。新興国の人口は50億人。冷戦が終わってグローバル化が進んだ今、彼らが先進国レベルに豊かになるまで経済成長は続く。(だから株価も上がり続ける)」
だけど夢はいつか覚める。株価がウォール街してすごいヤバいことになる。寝言は寝て言うものだと理解していただきたい。
最近個人でやってるtwitterで、これは絶対バブルだ、みんな慎重になれ的なことを書き込んだら「アメリカ株をやらないやつは馬鹿。今利益出ていないやつは幼稚園児以下のうんこ」みたいに煽られることが増えたのである。
バリュー株メインで銘柄選定していてあまり儲かっていないオイラは少しムカついているので、株価が暴落するとメシウマなのである。(欲しい銘柄が安く帰るし、ショートでの儲けも狙うことができる。)
さて、バブルはいつはじけるのだろう?その時強気一辺倒で掛け金を上げ続けた哀れな子羊たちはどういうことを言うのだろう?今から言い訳が楽しみである。
2ヶ月くらい前のことだ。コロナの緊急事態宣言が解除された解放感で、友人と焼き肉を食べに行っていたときのエピソード。
オイラと友人が肉を食べていると、隣の席に不動産の営業と思しき、こんがり日焼けした肌に高そうなスーツを少しだけ着崩したチャラ目のグループがやってきて、席に着くなりアメリカ株の話を始めたのだ。
「なすだっく?ってのを買ったら絶対上がるんだよ。ここ10年ずっと右肩上がりだったっし、俺もコロナの後に友人の勧めで始めたけど、1月でもう30万儲けたぜ!マジヤバい!お前らも早くアメリカ株できる証券口座開いて、なすだっくを買うんだよ!」
面白そうな話をしていたので盗み聞きをしていたのだが、彼らはNASDAQが株式市場の名前であり、日々変動する数字がその取引所の株価指数を意味していることも、自分たちが買っているのは株ではなくて指数に連動するETFと呼ばれる上場投資信託であることも理解していないようだった。
ソーシャルディスタンシングで座席の間引かれた店内に響き渡る彼らの声を聞いて、かの有名な靴磨きの少年のエピソードを自分が体験するとはと、しみじみ思ったのであった。