はてなキーワード: フォークソングとは
それちょっとズレてないか?
つまりその時代の話なんだよ。
何も戦前まで遡っているわけでもない。当時の彼らの周りでは、
音楽に青春を仮託していた人が大多数を占めていた、それだけの話。
もし彼らの周り”だけ”小説にそれを仮託していたのならば、小説の話になってたんじゃないかな。
確かに自分を含めて、大多数が音楽に青春を仮託していた時代があると思う。
僕より一回り以上上のおじさん達なんか正に、フォークソングにどっぷりつかっちゃったりとか、
ヒッピーだの学生運動だの、それぞれがモヤモヤっとした下半身の思いを、
その時代の潮流に乗って仮託していたのだと思う。
流行に乗るってのは全然悪い事じゃなくて、むしろシンクロニシティとかナノかなぁとか思っちゃうんだけど。
ただその時代毎に台頭してくる、仮託する為のツールってのは違うのよ。
例えば今だと、それこそ分岐してきてるよね。インターネットで随分分れちゃった。
ある人達はSNSにハマって、ある人達はニコニコにハマって…。ある人達は音楽だし、またコミケでもあるし。
そういうわけで今は恵まれている時代なんじゃないのかな。
じゃあ戦前の若者は何に青春を仮託していたのかって話になると、
僕は戦前の人の生活なんて殆ど知らないので何とも言えないけど、
ある人は小説だったのかもしれないね。
ビニール傘をさして雨の中をとぼとぼと歩く姿が、ヘッドライトの中で片手を大きく上げるので速度を落としたが、女性であることに気づいて、クラクションを鳴らして通り過ぎる。
大の男が女性ヒッチハイカーをひろうわけにはいかないわけだし、旅の途中でもあるわけだし、だいいち予定をずいぶん超過しているわけだし。ちらりとデジタル時計を見ると、九時をだいぶ回っている。周囲にヘッドライトは見えない。しかたなく路肩に車を停め、僕は傘をさして反対方向へ走り出す。
「大丈夫ですか? あいにく男なんです、それに」
駆けより弁解しようとして、言葉が途切れる。ヒッチハイカーの二十歳前後の女性は小柄で、その細い肩を小刻みに震わせていた。
「大丈夫?」
歩ける? じゃあ、車まで、距離あるけれど。縦に首を振る。それでとぼとぼとついてくるのを振り返りながら車まで歩き、助手席に座らせてヒーターを全開にした。
「この道、ぜんぜん車とおらないですよね、国道なのに」
できるだけ声をあかるくして後部座席からバスタオルを出して、渡す。沈黙を消すためにラジオをつけると、朝のドラマのあかるいポップソングが流れだす。ポットにホットコーヒーの残りがあったのを思いだして、それを注ぐと白い湯気がのぼり、カップを渡すとふるえる手がそれを受けとる。車内灯をつけて地図を広げる。
「どこまでですか? 駅まで送りますよ。ここから歩くとずいぶんありそうですし」
宮城に入ってからずいぶん走った気はしていたが、さすがにぎょっとしてコーヒーをすする彼女の顔をみつめる。ふしぎそうな視線がこちらをちらと見る。
「あ、ええ、大阪も回るつもりですが、ずいぶん先ですよ?」
「友達がいるんです」
ああ、家出かと得心がいき、何も荷物も持たずに海岸線を歩いていた理由がわかったような気がした。大学生ならばまだ夏休みも少しは残っているし、家を飛びだして高校時代の親友の家に転がりこむなんて算段もするだろうし、お金がないからヒッチハイクなんてことも考えるかもしれない。それでもこんなオフシーズンに大阪行きの車などめったになく、それで車を乗り継ぐうちに時間切れのように雨降るひとけのない国道に取り残されたのではないか、そんなことを思う。
「どうも」
カップが差し出されて、ポットをしまい、思いだしたように車を出す。
「とりあえず、今日は仙台まで行く予定だったんです。だからどのみちそこまでは行きましょう。大阪はどうするかはともかく」
「地図見ます」
それでふたりで納得して、ヘッドライトが照らす濡れたアスファルトを見つめながら、静かなラジオに身を任せる。夜のニュースが始まり、あいかわらずの政治の話題が伝えられる。それを片耳で聞きながら、ハンドルを指先で叩く。久しぶりの信号で停車すると彼女が訊いた。
「行くんですよね、大阪?」
ちらと見るとタオルで濡れた腕をぬぐっている。青信号にあわててアクセルを踏み、それから思いだしたように言葉を繰り返す。
「ええ、ですが、大阪に着くのはずいぶん先ですよ?」
彼女は小首を傾げるがそれも無理はなかった。
僕は今、ながいながい旅の途中でそれは生まれてはじめてする長い旅行。先月やめた仕事で貯めたお金をはたききって、日本中をまわろうと思っていた。小さな軽と二ヶ月はふらふらできる貯金、あとは地図だけあればなんとかなるというそんな旅。そんな自分勝手ができるのはおそらくこれが一生に一度で、この旅が終われば、山形の実家の酒屋を継ぐ。やっと都会のやくざな仕事から足を洗って帰ってきた息子の計画を両親は二つ返事で了承し、思う存分遊んでこいなどと、背中まで叩いて送り出した。
「どれぐらい先ですか?」
「さあ、計画決まってないんです。ふらふらしているだけで」
「じゃあ、大阪へ向かってくれないんですか?」
「え? あ、まあ」
いいにくそうにしていると赤信号で彼女と視線が合う。びっくりするほどきれいなまなざしが向かってくる。それで正直に言うことにした。
「岬めぐり、してるんです。全国のあちこちの岬をめぐって写真を撮ろうと思っているんです。だから、大阪にはいつ着くかなんてわからないんです」
彼女はきょとんとしていたが、おかしそうに笑う。
「こういうのはベタなほうがいいんです。あんまり考え込んでも面白いことなんてないんです。考えるより車を走らせた方がいい。面白そうな岬をめぐってみたほうが、ちっぽけな自分がわかるんです。考えている時間がもったいない。走っている間にいくらでも考える事なんてできるんです。それに岬めぐりは、日本人の青春の伝統みたいなところがあるし」
「そうなんですか?」
「歌があるんですよ、有名なフォークソングで、岬めぐりって歌が」
僕はそう言って、覚えてきたその歌をうたい始める。父のカセットテープで何度も聴いた曲。子供の頃のドライブの定番で、それはとても懐かしく、自分の人生を振り返っている心地になる。へたくそな歌を遠慮がちにくちずさむ。指でリズムを刻むと、やけっぱちの冒険心が刺激される。
「失恋の歌ですね」
えっと彼女を見て、ああとあわてていう。
小首を傾げるので、少し迷って話す。
「仕事やめたんです、東京の。それで実家の酒屋を継ぐんです、山形の」
わかったのかわからないのか、へぇと彼女は呟いたがそれでも地図には目を落とし、だいぶ増えてきた街灯の明かりにそれをかざす。ここ、右です。それでだいぶ仙台市内に入ってきたことに気づく。ラジオは深夜放送になっていて、誰かの語りがイタリアの今についてしきりに話していた。彼女はもうタオルで拭くのをやめていて、少し暑い気がしたのでヒーターを弱める。海岸線をまわる旅だったからか仙台はきらきらした人工の宝石のように見え、だいぶ安堵感が戻ってきて、気安く彼女に言う。
「どこかに泊まってください。お代は出すので。僕は車に泊まりますから。大阪の話は明日しましょう。どちらにしても今日は無理です」
「え? ああ」
困ったように迷い込む彼女を眺めながら、考え込む。
(なんなんだろうなあ……、この子は……。得体が知れないというか、自分以外の世界がまったく見えてないというか。こっちがまったく見えていないような気さえする)
まあ、でもそれは今日限りの事で、きっと彼女は仙台で都合をつけて、高速を走る大阪行きの車にヒッチハイクするのだろうと、そう思ってまあこれぐらいはよいかと思う。
「でも、これ、あなたが泊まるためのお金ですよね?」
「ん……、まあ、僕も泊まってもいいのだけど、そうすると見知らぬ男と部屋は別でも同じ屋根の下っていやですよね? だったら節約した方がいいじゃないですか?」
正直に言えば車中泊はもう慣れていたし、無理におなじところに泊まるほうが心理的な圧迫感が大きかった。なので、僕の提案は僕にとっての最善であり、これは僕の都合でそれが好ましいのであり、彼女に対して何かをしているわけではなかった。
それでも彼女はしぶしぶシティーホテルに部屋を取り、僕はその駐車場で眠った。
僕は駐車場でのびをして、体をひねってみて、コンビニででかいヨーグルトを調達してスプーンでそれをすくう。ラジオは健康体操の話で、ダッシュボードの地図を眺めながら、それを聞く。何か正直仙台まで来てしまったことが、まずい気さえしてきてしまう。もうちょっと前によい岬があったのではと。ノートPCを立ち上げて、あれこれと調べはじめる。昨日撮ったデジカメの画像を移しながら、ヨーグルト片手にそれをチェックしていく。この朝の作業はあんがい楽しい。コンコンと窓ガラスが鳴る。視線を上げると彼女が笑っていて、窓を下げた。
「大阪までお願いします」
どういうつもりだろうと思ってしまう。
「あなた、とても優しい人だし、それにとても善良だから」
「半月ぐらいかかるかもしれませんよ?」
彼女はにっこりと笑った。
・女の子ひろった
http://anond.hatelabo.jp/20100116012129
・これこそ逃避
http://anond.hatelabo.jp/20100119221742
・すごい彼女
http://anond.hatelabo.jp/20100123005026
・ふたつ恋した
http://anond.hatelabo.jp/20070408073302
これ読んでてちょっと違うことを考えた。別にこの手の世代論は批評の文脈に限らず、かなりコミュニケーションにおいて、汎用的なものだと思う。
思春期にハマってたものが、その人の芯というか、核となって、一生存在し続ける。これが、人間の特性なんじゃないかと考えている。だから、流行ってるものが毎年違う以上、世代によってハマるものが変わるのは、いわば当たり前。でもそれはすごいすごいすごい大事なこと。
僕がコミュニケーションで気にしてることとして、「相手の人間を理解するには、相手が思春期??青年期にどんなものにハマってたかを把握するのが一番大事」ってのがある。それを実現するために、人の年齢から"思春期にハマってたもの"のあたりをつけようと、ここ50年ぐらいの出来事と、ブームになった出来事をひたすらインプットしている。
彼は、バブル世代なのか?ファミコン世代なのか?フォークソング世代なのか?当時のカリスマは誰?好きなアイドルは誰?流行語は?ぐらいを、人と会った瞬間に考える。慣れれば、商談の場で、先方に現れた40過ぎの初対面のおじさんと、石川秀美と石川ひとみの違いについて熱く語ったりとか、すぐできるようになる。
そのとき大切なのは、ちゃんと知ってても、"わざと間違えること"。「あれですよね、石川秀美って、『まちぶせ』歌ってた人ですよね」「はっはっは、違うよ君ぃー、それは石川ひとみだよ??。私は当時彼女のファンでね??」ときたら、内心キター!というわけ。世代別に、相手が語りたいネタのパターンを用意してやればいい。
そのネタのパターンの1つが、映画とかアニメとか美少女ゲームという、位置づけなんだろうね。
誰もね、自分の好きなもの、子どものころにハマったものを、大切にしたいし、語りたいし、悪く言われたら嫌なものなのよ。
http://anond.hatelabo.jp/20070212000347
アメリカのフォークソングに「若者よ、二人目は常に一人目より悪い」というネタソングがあるが……さておき。
難しいなあ。俺も昔初めて付き合ってたころ似たようなこと考えてた。3年以上付き合って、正直嫌な部分も早い内からそれなりに見えてたというか、相手がかなり我侭な子だったからかなり苦労してたけど、当の俺は「でもいい女だしなあ」って思ってた。
で、まあ4年目を迎える前に別れ、その後何人か別の子と付き合ったわけだが。
確かに最初の子よりいいと思える面もあった。当然だけど悪いと思える面も。それに経験という面でも、確かに一人だけだったら味わえない幅広いモノを得られたし、その分ある程度は成長もしたろうなあとは思う。……でも、それが「もし一人目とずっと巧くいっていたら」という仮定の未来と引き換えにしても良かったほど凄いモンかと聞かれると、答えに詰まる。二人目以降が「格段にいい子」なんてことは、多分滅多に無いし。個性の幅の範疇で収まる程度だ。
(あなたが最初の人で強烈な恋愛テクを身につけており、二人目以降で超高嶺の花や逆タマを狙える自信があるなら別)
だから月並みな答えだけど、その子で幸せと思えてる内は別に経験を求めに行かなくてもいい気がするよ。
あと社会人になると恋愛に割けるエネルギーは格段に減る。恋愛成就に必要な財力面では楽になるけど。職場恋愛が豊富なトコに就くんでなければ、今の彼女を大切にしたほうが後悔しないかも、とかは思う。後ろ向きな理屈だけどなー。