その同人誌を見た時、一目で惹かれた。
当時はまだ同人誌というものを購入したことがなく、だから少し気後れしてしまった。
連日お店に通って同人誌を手に取るもののレジまで行っていくことはなかった。
ある日。いつものようにお店に行くとその同人誌が無くなっていた。売れてしまったのだろう。
ああ…どうして買わなかったんだ!?と激しく後悔し、その日は自責の念に苛まれ続けた。
翌日。再びお店に行くとその同人誌があったのだ!
売れたんじゃなかったのか!?いや別の本だろ?あ、いやでも見覚えのある傷が…
記憶通りの傷み具合。その同人誌は確かに買い逃した同人誌で、売れたんだと思っていたので不思議だったけれどとにかく買うことにした。
同人誌自体は期待通りの内容でとても満足でき、色々とお世話になった。
それから数年後。社会人になる前、引っ越すことになって部屋を整理することにした。
そのとき物を減らそうと思って色々と売ることにして、その中には例の同人誌も含まれていた。
だけど最近、その同人誌のことをなんとなく思い出すと気になり、思わずアマゾンでポチッた。
驚いたよ。
同じ場所に傷。見慣れた染み。どれもが馴染みのあるものだった。
届いた同人誌は確かに以前所持していたもので、あのとき買い逃した同人誌でもあったんだ。
それが再び、巡り巡って自分のもとへ…