魔界の指輪をはめた彼は強い者に見つからぬようにその呪術を使い善のために戦った
指輪は彼の味方だった
あるときは敵の心を読むために、あるときは姿を隠すために
彼は正義の呪術師と密かに呼ばれた
だがやがて魔界の指輪は悪の手に渡った
解明され、量産された指輪はたくさんの愚者に悪用された
愚者たちは世界を混乱に陥れた
強い者に従わぬようにといい、悪のために暴れた
指輪は彼らの武器だった
彼らは邪悪の呪術師と呼ばれ、人々の嫌悪の種だった
しかし強い者もその呪術を使えることに気がついた
強い者は力を恐れた
被害妄想により、善人も愚者も虐げた
指輪をはめた者は、善であれ悪であれ世界から排除された
強い者に抵抗できぬように監禁された
指輪は呪いだった
人々はかえって自由を奪われてしまい、指輪を持つ者は不幸の呪術師と呼ばれ、憎しみの対象だった
かつて指輪をはめた最初の彼は善の呪術師として死んだ
彼は魔界の指輪が正しいことに使えると信じたが、その信念は孤独に散った
指輪は彼の遺産だったが、強い者に怯えて誰もそれを受け継がなかった
呪術師という名は忘れ去られて人々は平和を願ったのであった
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