眞人は後に自分で言っていたとおり、優等生ぶってはいるがただのガキ同士の喧嘩を親の出てくる争いにするくらい意地悪い奴だった。
新しい母親・夏子が父親とちゅっちゅしているのを見て、あの女は母ではないし自分のものでもないとすねていた。
夏子は夏子で眞人のよき母を演じようとしていたがその実は夫も眞人も弟も全部自分の物にしたいエゴまみれの女だった。
正一はわかりやすくマッチョで息子のことを自分の分身扱いし眞人の人格もなにも見ていなかった。
でも、
眞人は死んだペリカンもアオサギのことも放っておけない少年だった。
夏子が眞人を酷く拒絶したのは、ヒミこと実母である久子と一緒にいた時だけだった。
久子に眞人を取られたくないエゴはそれもまた母親として正しいエゴだった。
何もわかっていない正一はそれでも愚直で善良な父親だった。