夏の話。
庭でずーっと子猫の鳴き声がした。
どうやらうちの物置の下の隙間に潜んでいるらしかった。
姿は見えないけど声はずっとしているし、
どうにかしなきゃと思っても
隙間は狭いし、出てこないからどうしようもない。
3日目は大雨になった。
物置の隙間は浸水するかもしれない。
物置の下に猫の死体…と考えたら、
とても恐ろしい気持ちになった。
雨があがったら、また声がした。
もう、これは本格的にどうにかしないと、と
先方には連絡済みなので、万事滞りなく進んだ。
引き渡す時、なんとも言えない気持ちになった。心臓がギュッとするような。
そして半年後。
写真が送られてきた。
白黒ちゃんは、引取先の伯母に溺愛されてムチムチになっていた。
あのか細かった体はドーンとして、キトゥンブルーだった目は黄色でまんまる。
やっぱりかわいい。離れたくなかった。