ふと思い出した。昔付き合ってた彼女はセックスするたび気絶してたんだけど、セックス自体はとても好きで、「気絶するからセックスしたくない」と言われたことは一度もなかった。でも冗談半分で「今日は気絶するまでやるよ」と言うと、わりと真面目に嫌がっていた。セックスは普通だった。おかしなこともせず、いたって普通の時間、20分くらいのものだった。行為の最中に毎度「飛んじゃうから止めて」と叫び、数秒後には気絶していた。数分痙攣して意識が戻ると、にっこり笑って「溶けちゃうかと思った」などと言い、よだれを拭っていた。彼女はどんな気持ちだったんだろう。別れるまでの数年間、ずっと謎だったし、あんな女の子は後にも先にもいなかったので今も相変わらずわかっていない。もし似たような人がいたら彼女の代わりに教えてほしい。あれ辛くないのか?ちなみに薬物とかそういう話はない。とてもプリミティブな男女の話だ。