2019-07-29

夏、牛乳、こんぶ飴

昔、ばあちゃんちには毎朝牛乳屋のおっちゃんが配達に来ていた。

夏休みには毎年ばあちゃんちに行っていたけど、ばあちゃんちはテレビくらいしかなくて、夜はめちゃくちゃ暇だったので、すぐ寝た。そしてその分朝は早く起きた。

そうすると、牛乳屋のおっちゃんがやってくる。おっちゃんはいおっちゃんだったので、子供の俺には毎回おやつをくれた。

それがこんぶ飴だった。

いやいや子供にこんぶ飴っておっちゃんシブすぎかよ……と思わないでもなかったが、こんぶ飴はめちゃめちゃうまい。ほんのり自然の甘さって感じで、うまいんだよ。

キャンディみたいに紙に包まれていて(包装は渋い)、それを剥がすと今度はオブラートを被ったこんぶ飴本体が出てくる。

初めて貰った時はオブラートプラスチックだと思って剥がして食べようとしたが、何度か貰ううちに「このプラスチック(※オブラート)は食べれる!」と学習し、外側の包装を剥がしてはすぐに口に放り込んだ。

夏の気温に柔らかくなっていて、口の中で転がすと気づいた時には無くなっている。俺はおっちゃんから貰うあのこんぶ飴が好きだった。

ばあちゃんちにいつの間にか行かなくなって、牛乳屋のおっちゃんにも会わなくなって、俺はいからかこんぶ飴のことを忘れていた。のだけど、スーパー牛乳を買おうとして思い出した。

ので、牛乳のついでにこんぶ飴も探してみて、売っていたので買ったんだけど、めちゃめちゃまずくてびっくりした。

いや多分普通にこんぶ飴としてはおいしいんだと思うんだけど、俺が求めてたこんぶ飴の味じゃなくて、その差に舌がびっくりして「えっまず……」って素で言ってしまった。

あのおっちゃんはどこでこんぶ飴買ってたんだろう。

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