自動車とか発電用タービンとかの熱効率って理論的上限が決まってて、カルノーの定理という熱力学史上に燦然と輝く理論から説明できるんだけど、
カルノーがその定理を著した1824年当時って、まだ現代的な意味での熱の概念が定まってなくてカルノーを含めみんなカロリック説を信じてたんだよね。
そもそも熱と電気って、摩擦熱と摩擦電気(下敷きをセーターで摩擦すると静電気がたまる)とか、熱流と電流とか、共通点が多いんだけど、
電気の方は電荷を担う粒子(電子)が存在することがわかったのに、熱の方は熱を担う粒子(カロリック)は存在しないっていうから、当時からその違いを見抜くのはすごく難しかったはず。
この例からも分かるとおり、retrospectには些事なことでも当時としては必ずしも自明ではないし、後から間違っていることがわかった理論でも、それが科学の発展に必ずしもマイナスとなってるわけじゃないんだ。