気になるあの子が自転車を重たそうに引いて歩いていたので、いっしょに持って手伝ってあげたら、それに感激したのか「増田さん、抱きしめてもいい?」と言われ、そのまま熱い抱擁を交わした。
特にキスなどをするではなく、ただただ抱き合っているだけ、相手のぬくもりと鎖骨の感触が少々記憶に残っていた。
普段、手を伸ばせば届きそうな距離にいるのにいくら手を伸ばしても届かない状況なので、夢とはいえ「やっと手が届いた」ととてつもなく幸せな時間だった。
目が覚めて夢だったとわかったときには落胆もしたが。
夢占いをひもといてみると、やはり「願望夢」にすぎず、いまだ距離は遠いことは間違いなさそうだ。
夢占いなどという科学的根拠の乏しいものに一喜一憂するのもばかげた話ではあるが、単なるエンタメの1種として考えれば悪くない。
そして、気になるあの子を手に入れることは自分にとって間違いなく幸せなことであると再認識し、なおのこと執着が強まってしまった。
ごめん、お前が寝てる間にギュってしたのは俺。