ある晩、彼は親友のチームメンバーから電話を受けた。
その内容は、心の弱さに負けてしまった親友がドーピングをしてしまい、そのことが発覚してしまったという、告白と後悔の電話だった。
まだ委員会による調査中で、自身が意図的に禁止薬物を摂取したことは、伝えられていないという。
話を聞いた彼は、泣きながら告白する親友に心から同情した。
親友のこれまでの人生、競技者としての苦労、家族の顔が頭をよぎった。
競技者として自身に可能性がないと悟っていた彼は尋ねた。
「・・・おまえ、それ、誰かに言ったか?」
「言ってないよ。おまえが初めてだよ・・・・」
「そのことは黙っておけ。」
「え?」
「誰にも言うな。大丈夫だから。おれ、なんとかする方法、知ってるから」
「でも・・・」
「いいから、大丈夫だから。暫く黙っていてくれ」
そして、
Permalink | 記事への反応(1) | 23:39
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誰もいなくなった