好きな人が出来たら、外堀から埋めるタイプだ。仲の良さそうな男子と先に友好を深めて、間接的にその人を知る。
…つもりだった。私が近付いた相手は、自分が好かれていると勘違いした。打算しか頭にない人間を好きだと抜かした。違う、自分が好きなのはバスケ部の理知的なあの人だ。そう言えないまま告白されて付き合い始めた。
漫画が好きなその人。自宅にも遊びに行った。両親に紹介していた。相手の両親にもいずれ挨拶しようと思っていた。そんな折、不幸が飛び込んだ。
結局それが契機となり二人は別れたが、一番愛された記憶はあの頃のものだ。駅で初めてしたキス、誰かに見られやしないかと緊張していた。
結婚した今でも思い出す。打算的な私に愛情を注がせてごめん。
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