むかし猿と蟹がいました。
猿は無職だったのでだらだらと過ごしていました。
そこに塩おにぎりでご機嫌の蟹が通りかかったので、空腹の猿はたまたま手に持っていた柿の種と塩おにぎりを交換しようと言いました。
塩おにぎりは食べたらおしまいだが、柿の種は植えて育てれば沢山食べれると。
蟹はそれはいいと言って種をもらいました。
それから8年後。
柿の木は身を収穫出来るまで大きくなりました。
しかし蟹はご覧の通りの姿なので木に登ることができません。
猿は驚きました。こいつあの時の種を植えていたのかと。
見ると確かに柿木は立派に育っていました。
こいつはいいや。
猿は快諾したフリをして木に登り、柿の実を食べ始めました。
しかし猿は、
「これでも食いな!」
「ぎゃぁぁぁ!」
まだ青い柿を蟹に向かって投げました。
蟹は死にました。
「許せないウス!」
「復讐だビー!」
「こらしめるクリ!」
「天誅だモー!」
話を聞いた蟹の友達、
臼、ハチ、栗、牛は猿に仕返しすることを決めました。
蟹が生前猿の為に用意したご馳走があると猿に伝えると、早速ノコノコとやってきました。
「ごめんよっと」
猿が引き戸を開け中に入った瞬間に、上から臼が落ちてきました。
臼の下は真っ赤に染まりました。
ハチ、栗、牛の出番はありませんでした。
こうして猿も死に、家の裏手の墓地に猿と蟹は一緒に葬られました。