「例えばテーマ。大衆はウケているが、こんなもん挙げだしたらキリがないくらい、散々使い倒してきたネタだ。目新しくもなければ、しかも既存の作品を超えてもいない」
「へえ」
「ストーリーも平易で、意外性も何もない。大衆はなんでこんなことが分からない!?」
「なんでお前の言う既存の作品を、大衆が観ていること前提で語るんだ」
「俺は見る目だけはあると思っているんだ!」
「よっぽど自信があることの裏返しなんだろうが、見る目だけしかないってのもどうなんだ」
「例えば、俺が『面白い』と思った作品は、確実にヒットしている!」
「そりゃあ、お前以外の人間も『面白い』と思っているからヒットするんだろうし」
「ふ、この作品は一見すると、大衆に媚びないセンスがあるように見えるが、甘いな」
「何がだ?」