「これから、みんな貧しくなってiPhoneが買えなくなるかもしれない」
「そうなんだ でも、キミは買えるんじゃないの? 親のお金がまだあるから」
自分のポケットの中でiPhone5sがなる。どうせ、Amazonからの発送メールだ。
「持てない苦しみを味わう人たちが出てくるんじゃないの?」
「自分が持てない苦しみを課せられたら、死んじゃうかもしれない 自分と同じような人たちが持てないのを見るとくるしくなるな」
「君みたいな子が、何も考えずに持っているのが一番嫌だな そもそもiPhoneは所詮コミュニケーションツールだ 君のような綺麗なものが一番得する」
「でも、欲しいんでしょ 買いなよ」
「少し欲しいけど、必要じゃないんだ 君のような美しくて、みんなが繋がりたくなる状態が本当は欲しいんだ」
あの子は、健康だし、優しくされるからどうなってもiPhoneを弄るだろう。皆が欲しいものは大抵手に入れられるだろう。
金なんてあっても結局、自分が手に入れることができるのはiPhoneだけなのだ。
自分は何も困らないはずなのに、大急ぎでアップルストアでローズゴールドのiPhoneを親が振り込んだ仕送りで買うのだった。