2015-11-06

中学生とき国語の授業で提出したポエムがでてきた

 僕は恋人ふたり川岸を歩いていました。10月にしてはやけに冷え込んだ、晴れた日のことです。仕事が忙しくてなかなか2人の時間が作れない僕は、久しぶりのデートにうきうきしていました。

 彼女がふと足をとめ、見て、と地面を指さしました。左手―僕と繋いでいないほうの手をコートポケットから出し、すっとかがみこんで何かを拾い上げます。得意げに広げて見せた手には、白いまん丸の石が、日の光を受けて輝いていました。

「きれいだね。卵みたい」

 僕がそう言うと、恋人は嬉しそうに笑いました。はしゃいだ笑顔がかわいらしかった。石を受け取ってみると思ったよりずっしりとしていて、ひんやりと心地よい感触が手のひらを伝わりました。

 石を慎重にポケットしまってから、僕はきゅっと彼女の手を握りました。澄み切った高い空を、赤とんぼが一匹渡っていくのが見えました。

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