教室内にいるのは30人程度なので、担当教員が「~さん」のように一人ずつ名前を呼んでいく。
ある人の番で点呼の声が止まった。
「…あれ?○○さん?××さん?なんで名簿に名前が二つ載っているの?」
正確には覚えていないが、「○○」にはコリアンの名字、「××」にはコリアンが日本で使うとよく言われている名字が入る。
その人とは別の少人数制授業でも同じ教室に居たことがあるが、今回のような事例はない。
おそらく別の教員は機転を利かせて、通名のみ点呼したのだろう。
しかしこのデリカシーの無い大学教員は、二つの名字を点呼した事により、その人が在日外国人であるということを教室全体に知らしめてしまった。
その人の心情やその人の周りにいる人間の腹の中やこれからの学生生活の行く末を案じてしまう。
そして相手を慮らない大人がいるという事に少し腹が立った。