そこでおれはトイレットペーパーの芯とアルミホイルを用意した。
知人のところに行って事情を話した。
友人を介して妖精に、おれが万華鏡を作ろうとしていることを妖精言葉で
それは、毎度ながらおれの耳を貸せというものだった。
妖精といっても種類は様々だ。友人が飼っている妖精は蟻ん子ほどの大きさだ。
そんな大きさの妖精が、おれの耳の穴に入り込んでくる。
妖精はおれの耳垢が大好きなのだそうだ。粘り気のないサラサラした
あっさりとした耳垢が美味しいのだという。おれは耳がこそばゆいのを
ゴソゴソという音が脳に直接響いてくる。
そんなふうにたらふくおれの耳垢を食べた妖精は早速
アルミホイルを貼り付けていくのだ。妖精は自分の唾液を糊として
こちらも気をつけなければならない。まあ、踏んだくらいで死ぬような
妖精ではないのだが、これは怪我ではなく不機嫌の問題に属する。
出来上がった万華鏡の片方の穴を紙で塞いで、中に妖精を入れる。
おれはそのトイレットペーパーの芯を覗き込む。