「向上心をこんなものに使っている場合じゃない」、そう思った瞬間、趣味が急に色褪せる。
趣味の本質は熱中する事だ、気楽に時間を潰すための最短ルートがそれに没頭して他のことを忘れてしまうことなのだから。
ガムシャラに上手くなろうとする過程こそが熱中の本質なのだとしたら、
「こんなものに必死になってもしょうがない」と感じてしまう事は趣味を楽しむことの天敵となる。
楽しむこと、極めること、その最大の障害はいつだって現実からやってくる。
才能の差が「俺がこれを頑張ってもしょうがない」と思わせる。
時間の無さが「俺はこんなことをしている場合じゃない」と思わせる。
精神的な疲れが「こんなものに必死になってる状況じゃない」と思わせる。
いつだって人が何かを楽しむことを邪魔するものは現実からやってくる。
現実が色あせれば全てが色褪せる。
そんな時に、それでも趣味を生きがいとしようとする気持ちを守ろうとした時、人は現実を捨てる。
現実を捨てさせるほどの趣味が悪いのか、捨てられてしまうような現実が悪いのか。
俺は、現実が悪いと思う。