小学1年のころだったかと思うのだが、周りの知らない人間、特に中学生ぐらいが、自分を笑っているのではないか、という感じが常にしていた。彼ら・彼女らが、自分のほうを見て、口元を抑えて笑っているような感じがしていた。親にも、自分が笑われているけどどうしよう、というような相談をして、そのたびごとに、そんなことはないと否定をされていた。そして、時とともにそのような感覚はなくなった。いつ無くなったともわからず、自分の記憶から、そもそもそのような感覚が存在していたということさえ消えていた。
大学に入学し、心理学を専攻したのだが、精神医学にかんする講義の中で、統合失調症の症状の中に「人から笑われているような感覚」というものがあることを知った。思春期に発症する統合失調症にそのようなものがあり、また、時とともになんとなく治ってしまう場合もあるようなのだが、果たして自分も統合失調症だったのだろうか。