子供と一緒にいると、自分の子供時代のことを思い出したり、追体験したりする。
そしていつも、そこにいる子供時代の自分をみて、ふっと悲しい気持ちになる。
わたしは子供の頃、どういう風に扱われてきたんだろう。
殴られたり蹴られたり、ということはなかったと思うけれど、
庭に寝転がって芝生の草を眺めていたことや、
そういうことは思い出せるのに、
例えば母が何かをしてくれたんだろうかと思い出そうとしても
何にも思い出せない。
一体殿部屋にどうやって眠っていたんだろうかと考える。
当時の家は、誰の部屋というのは特に決まっていなくて、
わたしたちはたぶん奥の座敷で寝ていたんだと思う。
でも、蚊帳を貼った記憶はあるのに、母と一緒に眠った記憶がない。
母とは温泉に行ったことは覚えている。
我が子はそれほど泣かないけれど、時々泣いているときに、
それなのに、母からは、良い気して! とにらまれたことしか覚えていない。
抱きしめてほしかったんだ、わたし。
小学校の頃、父が死んだ。
周りの大人にさんざんかわいそうだと言われて、
自分はかわいそうなんかじゃない、馬鹿にするな! と強がってとんがって生きてきたけれど、
かわいそうで仕方がなくて、ぎゅっと抱きしめてやりたくなる。
それは父親がいないことがかわいそうなんじゃない。
そうじゃない。
何も言わずに、何もしてやれないと思う。
そうしないと、我が子にもわたしの悲しさ、寂しさが伝染してしまいそうで怖い。
現にわたしは今までの人生ずっと引きずっている。
我が子にはこういう寂しい思いはさせたくない。
悲しいけれど、子供の頃の親子関係は引きずるよ。 そんなもの関係ないっていう人のほうが多いけど、 そういう人達ってなんだかんだいいつつ恵まれている人達ばかりだと思う。