大学と大学院で生命科学/life scienceというものを専攻した結果、生命に対するscienceは無力でしかないと、自分は絶望したんだなあと最近認識した。思考回路をメモっておく。
近代医学がいかに人類を死から救ってきたか、はちゃんと知ってる。何百年前なら致死的だった疾患も、今ならたった数錠の薬で治せる。
今致死的である疾患、たとえば癌は世界中の製薬会社が新薬の開発に注力している。遠からず、癌も致死的な疾患ではなくなるだろう。
それで、次から次へと死の要因となる疾患を人から取り除いて行って、じゃあ人類は死から逃れられるか?
逃れられない。細胞の複製の回数には限度がある。人は必ず死ぬ。
よしんば死から逃れられる技術を人類が獲得したとしても、それはそれでつまらない。永遠の命とか全然ほしくない。
だから結局、サイエンスをつきつめて人から病気を完全に取り除けるようになったところで死は絶対避けられない。
じゃあサイエンスってなにを目指しているのだろう。医療系のサイエンスに一生を捧げる人は、サイエンスのなにを信じたのだろう。
防ぎうる病気をできるだけ減らすことじゃね。 永遠の命ももちろん欲しいだろうけど、 インフルエンザなり癌なり統合失調症なり認知症なりの病気を防げるだけでも凄いと思う。